著者
丸山 由紀子
出版者
東京外国語大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では教会スラヴ語的要素の一つである双数形に焦点を当てて分析を行った。その結果、15世紀にロシアで成立したオリジナル聖者伝において、双数形の使用が想定されうる文脈における双数形(教会スラヴ語的要素)と複数形の使い分けは、語彙・文法的要因だけでなく、作品における各エピソードをより効果的に伝えるという作者の意図によっても決定されることが判明した。すなわち、教会スラヴ語的要素の用法に関する研究では談話的要因を考慮する必要があることが明らかとなった。