著者
春原 政浩 丸山 美恵 降旗 建治 柳沢 武三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.395, pp.9-16, 1999-10-29
被引用文献数
2

本論文では,最初に,175個(直径7.5cmから120cmまで)の木魚音に関する周波数分析を行った。その結果,大多数の木魚音は,顕著な最低共振周波数成分と第2共振周波数成分を持つことがわかった。それらの中心周波数に対するうなり周波数の比(RBC)を求めると,0.1から0.2までの範囲に90%以上の木魚音が含まれることを明らかにした。これは,木魚に共通した物理特性であるといえる。次に,木魚の集中定数モデルに基づく理論値を検証するために,木魚製作時における最終調整段階の各場所での削り屑と集中定数の関係を実験的に検討し,また点音源モデルを検証するためにインテンシティ計測を行った。この結果から,木魚の等価回路モデルの有効性が検証できた。最後に,うなり周波数の変化が音質評価に与える影響を,直径の異なる4種類の木魚音を基に調べている。その結果,木魚音は寸法・形状によらずRBC値が0.1前後のときに心理的に良い評価を得ることがわかり,一般的に望ましい音質の木魚を製作する上での1つの指標を得ることができた。