著者
春原 政浩 丸山 美恵 降旗 建治 柳沢 武三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.395, pp.9-16, 1999-10-29
被引用文献数
2

本論文では,最初に,175個(直径7.5cmから120cmまで)の木魚音に関する周波数分析を行った。その結果,大多数の木魚音は,顕著な最低共振周波数成分と第2共振周波数成分を持つことがわかった。それらの中心周波数に対するうなり周波数の比(RBC)を求めると,0.1から0.2までの範囲に90%以上の木魚音が含まれることを明らかにした。これは,木魚に共通した物理特性であるといえる。次に,木魚の集中定数モデルに基づく理論値を検証するために,木魚製作時における最終調整段階の各場所での削り屑と集中定数の関係を実験的に検討し,また点音源モデルを検証するためにインテンシティ計測を行った。この結果から,木魚の等価回路モデルの有効性が検証できた。最後に,うなり周波数の変化が音質評価に与える影響を,直径の異なる4種類の木魚音を基に調べている。その結果,木魚音は寸法・形状によらずRBC値が0.1前後のときに心理的に良い評価を得ることがわかり,一般的に望ましい音質の木魚を製作する上での1つの指標を得ることができた。
著者
藤岡 祥子 降旗 建治 柳沢 武三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.98, no.247, pp.9-16, 1998-08-27
参考文献数
6
被引用文献数
13

超音波振動子を用いて, 骨伝導聴取を行うと, 20kHz以上の超音波領域の音を明瞭に聞き取ることが可能である。本論文では, 最初に, 乳様突起部位に20kHzから66kHzまでの骨導振動を加えたときの可聴範囲及び40kHzにおける頭部の各部位における最小可聴値を駆動点の加速度で検討している。次に, 外耳道に挿入された耳栓と鼓膜とに囲まれた管状小容積腔内の音圧を基準にしている新しいオージオメータを用いて, 骨導振動子で乳様突起部位に振動を加えたときの最小可聴値を検討している。この結果から, 超音波領域における骨伝導の可聴範囲は27dB前後であること, 40kHzにおける最小可聴値は上記腔内音圧レベルで46dB前後dあることを明らかにしている。
著者
降旗 建治 柳沢 武三郎 池田 雅昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.97, no.334, pp.15-22, 1997-10-23
被引用文献数
4

本論文では, これまで音響工学的観点から検討されていない木魚に関する音響振動特性とその心理評価結果について報告する。まず, 直径37cmの木魚を例として, 基本的な物理特性を明らかにしている。すなわち, 木魚音の周波数帯域はばちの先端の材質により決まること, 駆動点機械インピーダンス特性から主要な共振周波数は155Hz, 177Hzおよび402Hzの3つであること, それらの指向性は前者の2つが全指向性を示し, 後者の402Hzが両指向性を示すことなどがわかった。次に, 好ましい木魚音とはどのような物理特性を持つものであるかを心理的側面から検討している。その結果から, 3つの共振周波数だけが駆動できるゴム製ばちは有効であること, およびその木魚音の残響時間特性が0.6秒前後となる室内音場は有効であることなどが検証できた。
著者
井上 壮太 降旗 建治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.348, pp.19-24, 2005-10-14

エレキギターはソリッドのボディが特徴である.弦はネックのペグ部分とボディのブリッジ部分に張られており, その振動は, そのネックとボディ振動の影響を受ける.本論文では, 理論的な弦の固定条件と現実のエレキギター(テレキャスター)との比較を, 物理的側面と心理的側面から検討した.その目的は, エレキギターのボディの設計方針とアンプのエフェクト回路の設計に役立てるためである.その結果から, 現実のエレキギターは弦の境界条件が固定時のシミュレーションと比べて「明瞭」, 「力強さ」, 「好み」において高く評価され, 心理的にも好ましく捉えられる傾向が示唆された.
著者
尾崎 真 降旗 建治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.313, pp.49-54, 2006-10-20

前報では,音圧マイクロホン対による音源方向分離に関する検討[1]を行い,音源探査のための3次元音響インテンシティマイクロホンプローブに適用し[2],音響インテンシティ計測に有用であることを明らかにした.本報告では,このマイクロホンシステムを音声と騒音の音源方向分離に適用できるかどうかを検討している.ここでは,指向性が双指向性あるいはカージオイド特性のマイクロホンシステムを採用し,その指向性のデップ特性を利用して,その出力のFFT結果と全指向性マイクロホン出力のFFT結果のレベル差に着目して,両者振幅スペクトルの差成分に関する逆フーリエ変換を行って音声信号だけを抽出することが可能かどうかを検討している.実験結果から,本システムの有効性が検証できたので報告する.
著者
足立 大 山中 健太朗 春原 政浩 降旗 建治 柳沢 武三郎 湯浅 昌謙
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.398, pp.81-86, 2002-10-18
参考文献数
4

本報では,日本の伝統建築物の一つである寺院(長野県信州新町 興禅寺)の音響特性と鳴らしものについて音響工学的観点から解析・検討した.寺院の残響特性を解析するとともに,施食会という儀式を録音・分析することによって,儀式に使われる鳴らしものについて周波数分析した.その結果から,本堂の残響時間は人の存在によって0.8秒前後(無)から0.7秒前後(有)へ変化すること,代表的な鐘の各共振周波数比が1:2.7:5であること等を明らかにした.そのような鳴らしものの中で,木魚は前報で検討し,等価回路に基づく合成木魚音が有効であることを明らかにした.この合成木魚音をバーチャル木魚音と呼び,引き続き,ばちによる力関数との畳み込みによる合成方式を提案し,バーチャル木魚と本物の木魚との合奏効果を検討した.その結果から,バーチャル木魚は本物の木魚と同様に使用できることが分かり,一人で何役もこなすことができる点でその有効性が検証されたと言える.
著者
山中 芳 降旗 建治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.255, pp.61-66, 2008-10-16
参考文献数
11

金管楽器は発振部(演奏者の唇),マウスピース及び共鳴部(ホーン)からなる.トランペットのマウスピースは,体積が1.2ml,スロートの直径が4.2mm,及び長さが11.0mmであり,それ自身の共振周波数をもっており,およそ800Hzに共鳴(F1)が現れる.この周波数はポッピング周波数として知られている.トランペット音の音色は,このポッピング周波数が重要な物理的要因であると考えられる.本論文では,プロを含む経験年数が異なる演奏者によってこのポッピング周波数がどのように変化しているかを実験的に検討した.具体的なポッピング周波数解析法は,線形予測(LPC)分析によりポッピング周波数(F1,F2,F3)を推定し,各周波数に中心周波数をチューニングした臨界帯域幅バンドパスフィルタ(CBPF)出力のゼロ交差信号から「周波数と振幅」を抽出した。ここでは,その抽出結果から心理的な「音の高さ(mel尺度)と音の大きさ(sone尺度)」に変換し,新たなロジスティック聴覚モデル(mel尺度に対するloudness尺度値の累積確率分布)を構築し,上記比較検討を行った.
著者
降旗 建治 藤岡 祥子 柳沢 武三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.259, pp.15-22, 1999-08-26
参考文献数
19

前報では, 超音波振動子を用いて, 骨伝導聴取を行うと, 超音波領域における骨伝導の可聴範囲は27dB前後であることを明らかにした。引き続き, 本報では, 骨導経由で与えられた超音波に対する聴覚特性を明らかにするために, 最初に超音波骨導音の音の高さ, 次に超音波骨導音によるマスキング, 更に気導音および骨導音による耳音響放射に関して実験的に検討している。これら骨導で与えられた超音波に対する諸特性の結果から, 超音波に応答する部位が蝸牛内に存在する可能性が示唆された。
著者
百瀬 翔太 降旗 建治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.266, pp.25-30, 2012-10-19
参考文献数
11
被引用文献数
1

人間の可聴域上限を超える高周波成分が可聴音と共存することで,人間の心理・生理面に様々な良い影響を与える効果(ハイパーソニック・エフェクト)があるという報告がされている.本報では自律神経系の活動に注目し,自律神経機能のバランス指標となるLF/HFと,脳波α波を指標として,両者を比較することで楽音中に含まれる高周波成分が生理的側面におよぼす影響を検討した.その結果両方の指標において,高周波が共存する楽音提示中は提示前と比べてよりリラックス状態になり,高周波を除外した楽音提示中は提示前と比べてよりストレス状態になるという傾向が示された.よってこれらふたつの指標には整合性があり,高周波成分による自律神経系への影響も,生理に様々な影響をおよぼすハイパーソニック・エフェクトのうちのひとつの効果なのではないかということが考えられる.またこれより,高周波成分による脳内の状態の変化を呼吸器系の変動から推測できる可能性が示唆される.
著者
降旗 建治 柳沢 武三郎
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.577-582, 1989-08-01
被引用文献数
67

数多くの研究者が与えた独自のうるささ尺度とは異なる心理尺度を採用して、我々は各種騒音源の心理的影響の程度を評価している。その心理尺度は、長野地区における住民の大多数が日常用いている代表的な評価語から構成されている。本論文では、機械工場騒音、製材所騒音、列車騒音、鉄工所騒音、建設騒音などの場合について実験的検討を行っている。その結果、これらの騒音に対して、1)使用頻度の高い評価語は"うるさい"と"気にならない"であること、2)それらの程度表現語は7段階のグループに分けられること、3)選定した評価語によるうるささ尺度は等間隔性を有すること、4)うるささ尺度とL_&ltAeq,T&gtの対応性はかなりよいことなどが明らかになり、我々が採用した心理尺度は前回の自動車騒音の場合も含めて各種音源の「うるささ」を共通に評価できることを見出している。
著者
菅谷 雄一 粥川 大祐 降旗 建治 柳沢 武三郎 松崎 雄樹 近藤 暹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.397, pp.1-6, 2003-10-23
被引用文献数
5

前報[1]において,骨導超音波による断続音融合弁別閾を用いての疲労度測定(以下超音波疲労度測定器と呼ぶ)の可能性が示唆された.本報告では,引き続き「高濃度の酸素を吸入することによる疲労の回復状態」および「疲労状態時の仮眠による疲労の回復状態」に関する基礎的検討を行った.その結果から,各個人の感覚的な数値データは,実験の前後で統計的に有意な変化が観測され,回復の度合いを示す有効な数値が得られた.また,前報でこれまで疲労度の数値化のための有効な手段として用いられてきた自覚疲労度と客観的疲労度との相関性も示唆された.本報告ではWWWを利用して自覚疲労を表す単語の評価尺度を検索し,より信頼性の高いアンケートが制作された.これにより客観的疲労度と自覚疲労の相関性がさらに強くなる傾向がみられた.
著者
石川 俊行 砥川 進士 降旗 建治 柳沢 武三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.381, pp.57-64, 2001-10-18
被引用文献数
3

本報告では人がアンプによる音質の違いをどのように判断するかについて, 聴覚系の情報のみ与えた一対比較法(Scheffeの方法)と, 聴覚系以外の情報も与えた階層分析法の両面から実験的に検討した.具体的には, トランジスタ式, FET式, 真空管式(OTL及びOPTで使用)の4種類のアンプを採用し, クラシック, ロック, ポップスにおける4種類の品質表現語(明快さ, 滑らかさ, やわらかさ, 深み)を用いて検討した.その結果, 前者ではわずかなアンプ間の音質の違いが現れているものの, 統計的有意差は認められなかった.さらに後者では, 音楽に「滑らかさ」と「やわらかさ」を好む人が真空管アンプ(OTL)を選ぶ傾向が示唆された.
著者
村井 厚介 降旗 建治 柳沢 武三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.397, pp.31-36, 2003-10-23
被引用文献数
2

前報[1]では,耳栓型イヤホンによる再生時に,頭外定位感が得られる条件について検討した.その結果,耳栓の装着感が定位感に深く関係することが示唆された.本報では,耳栓型イヤホンの装着感が主に外耳道閉塞効果によるものと考え,空気漏洩孔を設けることで外耳道閉塞効果を低減したイヤホンを設計・製作した.次に,スピーカ再生音とイヤホン再生音を片耳ずつ同時に受聴する状態で音像定位実験を行い,外耳道閉塞効果と頭部伝達関数それぞれの頭外定位感に対する影響を検証した.その結果,頭外定位感に対し,外耳道閉塞効果を低減することの有効性が1kHz以下の帯域において見られ,個人の頭部伝達関数を補正することの有効性が特に正中面内前方において見られた.
著者
菅原 拓哉 降旗 建治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.253, pp.37-40, 2006-09-18

本論文は,耳朶部位透過型脈波センサ出力に同期した2対パルス(10ms)フリッカーの遅延時間(Δt)に対する融合閾値(Flicker Fusion Threshold Δt<10ms)から弁別可能(Clearly Separable Δt≫30ms)までの範囲,すなわち極限法による上昇系列1回の点滅が2回に見える閾値と下降系列2回の点滅が1回に見える閾値の平均遅延時間,いわゆるFlicker Order Threshold (FOT)に関して検討している.心理測定関数にロジスティック関数を用いて評価すると,血流量の違いによってFOTも異なることがわかった.
著者
降旗 建治
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

提案したロジスティックモデルは、1回の測定結果からでも、閾値、許容値、最適値等が推定できる。このモデルを各種感覚・知覚実験法に拡張・展開した。特に、得られた感覚特性(弁別閾値)と各種疲労要因との関係から、疲労現象は、感覚特性だけで把握することは困難であることがわかった。そこで、このモデルが生理学的側面にも有効かどうかを検討した。具体的に、慢性疲労症候群のリスクファクターとして、非侵襲的頭蓋内圧推定法を提案し、新たに頭蓋内圧伝達関数法を構築し、その有効性を検証した。
著者
増田 圭太 石塚 健治 降旗 建治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.313, pp.7-12, 2006-10-20

本研究では,レコーディングの際に重要な受音点におけるギター音特性を明らかにするために,フォークギターの表面板振動(駒部位)と任意受音点間の音伝達特性を測定し,基礎的な検討を行った。糸巻きの撥を用いてギターの駒をタッピングすることによって加速度振動レベルと半径1mの円周上の音圧レベルを測定した。音伝達特性に関する信号処理方法は相関行列からインパルス応答を推定した。その結果から、80Hzから4kHz程度まで明瞭な音伝達特性が得られ,500Hz付近のギター音放射効率は500Hz付近が最も良いことなどがわかったので報告する。
著者
石川 俊行 降旗 建治 柳沢 武三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.398, pp.57-62, 2002-10-18
参考文献数
9
被引用文献数
1

本報告では,物理的歪が音色の好みとどのように関係しているか,実験的に検討した.具体的には,仮想プリアンプによって3種類の物理的歪(空気の歪,真空管の歪,電磁型電気音響変換器の歪)を付加した音源を作成した.そしてこれらと,無歪の音源をそれぞれ聴覚の非線形性を考慮しながら,4項目の品質表現語(明快さ,滑らかさ,やわらかさ,深み)において,一対比較法(Scheffeの方法)によって評価した.その結果,ヴァイオリン協奏曲とギター曲では無歪の音色が,ロックとポップスにおいては電磁型電気音響変換器の歪を付加した音色が好まれる傾向が示唆された.
著者
大平 雄貴 降旗 建治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.240, pp.31-36, 2009-10-15

現在、2輪業界に対する騒音規制法は年々と法改正案が発表され厳しくなっており,定常走行時はL_<Amax>が72dB以下である.そこで本報では,バイク単体における騒音の自動監視するシステムを構築するため,インテンシティベクトルを用いて移動音源の向きと大きさが測定できるかどうかを検討した.校正時において,インテンシティレベルは,音源から十分に離れている場合SPLと等価であるためILとの対応を容易にとることができる.また移動音源計測についてはドップラー効果や伝搬時間差などの特有の問題がある.実験は,バイク(YAMAHA yzf-r6)を一定速度で走行した場合について走行車線から7.5mで音響インテンシティ計測を行った.その結果,可変指向性による音響インテンシティ計測結果から,バイクが0m地点を通過した時,最大ILはマフラー部の110dBであることがわかった.
著者
生川 弘晃 降旗 建治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.379, pp.67-72, 2004-10-22
被引用文献数
1

人体内の肉内および骨内の音速は,圧電センサから発信する超音波信号の遅延時間から求められている.しかし,入力した矩形パルスが超音波センサの共振周波数とQから定まる振動波形が受信されるため,遅延時間を正確に計測するためには立ち上がるポイントを検出されなければならない.そこで,本報告は,予測信号と受信信号との差の比較から,遅延時間を計測する方法を用いて,人体両足首くるぶし部の音速について検討した.その結果から,海綿骨を伝達する音速の平均値は約4,000m/s,標準偏差値は544.3m/sであり個人差が大きい.一方,骨髄を透過したと考えられる音速の平均値は約2,000m/s,標準偏差値は181.9m/sであり個人差が小さいことが示唆された.
著者
篠原 誠 降旗 建治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.269, pp.31-36, 2007-10-12

本報告では,外耳道内における,音圧,伝達関数,音響インピーダンス,を計測するため,2マイクロホン法による音響計測システムについて検討している.開発した超小型インテンシティプローブマイクロホンは,3つのマイクロホン間距離が6.3mm,10.4mm,16.7mmおよびプローブの直径が4mmであり,外耳道内の3点における音圧を同時に測定できる.外耳道入口と外耳道内(入口から10.4mm,16.7mmの位置)における音圧を測定した結果に基づき,まず各マイクロホン間の音圧差から伝達関数,伝達関数から鼓膜位置のインピーダンスが計測できること,次に鼓膜位置のインピーダンスから鼓膜位置の音圧を推定できることがわかった.結論として,開発した超小型インテンシティプローブマイクロホンにより,外耳道内の2点で測定した音圧は外耳道内の物理量の測定に適しており,外耳道入口で測定した音圧は耳の形状等による個人差を示す可能性が示唆された.