著者
丸山 華
出版者
神戸大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

1. 研究目的(1) 子どもたちの生活の中で使われる語彙の頻度について明らかにする。(2) 使用頻度の高い語彙から単元のテーマを決定し、年間カリキュラムを開発・提案する。2. 研究方法上記の目的達成のために、具体的に次の4点を行った。・ 外国語活動の授業において各学年約6個の活動を子どもたちに投げかけ、活動に必要な単語を子どもたちに挙げさせるなどして、子どもたちの生活に身近な語彙を集積した。・ 上記で集積した語彙を学年別・カテゴリー別にコンピュータに入力した。その結果をもとに単元を構成し、各学年の年間カリキュラムを作成した。・ 各単元の最後に使用語彙の数や種類について、テストとアンケートを行い、作成したカリキュラムの加除修正を行った。3. 研究成果(1) 高頻度語彙のリスト化児童から挙がった語彙の中で頻度の高かったものをカテゴリーに分けてリスト化した。その結果分かったことは、児童の使用する語彙は教科用図書や児童書で扱われている語彙、そのときに放映されているテレビ番組やニュース、流行に大きく影響を受けているということである。現在、小学校に外国語活動が必修化されるにあたり、教師用の参考資料が多く出版されているが、それらは一般的な語彙であり、実際の子どもの興味関心に当てはまると言い難いことが分かった。例えば、A出版社の「職業」のカテゴリーでは、野球選手、歌手、小説家、アナウンサー、ゲームプログラマーなどが挙がっているが、実際に子どもたちから挙がった職業の中で頻度の高かったものは、サッカー選手、考古学者、弁護士、幼稚園の先生などであった。高学年児童の興味関心は、予想以上に広範囲であり、さらに日本語としても高度な語彙を含んでいる。これらの差異は、地域性・時代性が大きく影響するものであるが、だからこそ目の前の児童の生活語彙を調査し、使用する必要がある。(2) 年間カリキュラムの開発使用頻度の高かった語彙をもとに、1~6年生の年間カリキュラムを作成した。低学年では主にゲームや歌を使いながらの活動、中学年ではごっこ遊び(病院・お店)を中心にした活動、高学年では実際の場面(日本文化の紹介・学校案内)を中心にした活動を配列し、同じカテゴリーの単語をくり返し使うことで英語に親しむことができるようにした。