著者
丸峯 正吉 坂井 健吉
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.16, pp.4-6, 1961-04

最近甘藷では原料用高殿紛多収品種の早期育成が望まれている。このため従来の品種間交配によるほか,野生種,近縁種との交雑による種属間雑種の利用や自殖系統の利用など新しい方法が取上げられているが,X線照射による突然変異の利用もまた注目すべきものと考えられる。X線照射による甘藷の突然変異に関する研究は真島,佐藤氏(1958)のものを除き余りないようであるが,甘藷の品種は遺伝的にはきわめてヘテロであって,変異が現われ易いこと及びその変異は栄養繁殖によって瞳ちに利用することができるので,目的とする品種の早期育成には好都合である。前記真島民等は甘藷農林1号を用い,X_1まで観察した結果,藷の皮色,茎の形状にかなり多くの変異が現われたことを報告しているが,蔓や藷の収量及び澱粉歩留等所謂ポリジーン形質に関しては詳細な圃場試験が必要であると述べている。われわれはポリジーン形質に関する変異の程度をみることを主とし,合せて既成品種の中にある不良形質をX線照射により除去することができれば,その品種の価値を一層高めるものでもあるので,早掘用品種フクワセの皮色の淡紅を鮮紅もしくは赤に,原料用品種ナガムラサキの肉色にある紫最を除去することを従として両品種にX線を照射し,1958年より2ケ年各種形質の変異の状態を観察したのでその結果を報告する。