- 著者
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丹生 有紀
大澤 幸生
西尾 チヅル
中村 洋
- 出版者
- 日本行動計量学会
- 雑誌
- 日本行動計量学会大会発表論文抄録集
- 巻号頁・発行日
- vol.33, pp.32-33, 2005-08-24
ビジネス現場で「顧客情報」の重要性が聞かれる。しかし顧客は考えを言葉として表現しえるわけではない為、価値ある情報の収集は難しい。企業はどのように顧客に重要と思われる情報を発信し、新奇性と有益性のある情報のフィードバックを獲得するのか。意味ある情報の獲得には、顧客が商材を語り、新たな気づきを獲得しながら、顧客自身がその価値を発見するプロセスの提示が必要である。このプロセスでは、商材(外部情報)と顧客背景(内部知識)の統合を促進するコミュニケーションが重要な役割を持つと考える。本稿では対象物に対する人の気づきの獲得モデルについて、美術品鑑賞における鑑賞者の認知プロセスを事例として取り上げる。例えば知名度が低い美術作品に対し、その価値への気づきと評価を人はどのように獲得するのか。「目は口ほどにものをいう」ともいわれるように、視線の動きには人間の精神状態が反映される。そこで本稿では鑑賞時における視線走査に着目し、感想の発話状態との関連性について、認知科学的な視点による実験と考察を行う。