- 著者
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中井 さち子
丹羽 光明
山崎 成一郎
堀井 博
- 出版者
- 九州看護福祉大学
- 雑誌
- 九州看護福祉大学紀要 = The journal of Kyushu University of Nursing and Social Welfare (ISSN:13447505)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, no.1, pp.13-18, 2015-03
「目 的」 生産方法の違いが、農産物の持つ抗酸化力にどのような影響を及ぼすのか、特に土壌養分の質の違いに着目し実験を行った。「方 法」 慣行農法と有用微生物群(EM)を活用した有機農法で別々に育てられた、自家採種の自然種の野菜(ダイコン)の抗酸化力・糖度・電気伝導度・可給態窒素を圃場にて栽培測定した。測定機器はウイスマー社フリーラジカル評価システムF.R.E.E(Free Radical Elective Evaluator)、アタゴ社製Brix糖度計およびHORIBA社製コンパクト電気伝導率計B-173を使用し、測定を実施した。統計処理は、Studentのt検定を行った。「結 果」 ダイコンにおける抗酸化力の平均値は、EM農法が493.05μmol /mlに対して慣行農法は440.44μmol /ml、一方糖度の平均値はEM農法が7.5Brix%に対して慣行農法は7.1Brix%であった。抗酸化力(0.01<p<0.05)、糖度(p<0.01)共にEM農法のほうが慣行農法に比較して高い抗酸化力を示した。一方、野菜から体に入り、有害とされる硝酸態窒素は慣行農法が高かった。また養分(肥料)は慣行農法の方が一気に土中に放出されるが、有機農法の方は微生物が養分を抱え込みながら徐々に土中放出することが示された。「考察・結論」 有用微生物群を活用したEM農法の方が、慣行農法に比べて抗酸化力・糖度の高い農産物を栽培できることが示唆された。EM農法で育てられた抗酸化力の高い食材を摂取していくことは、活性酸素の影響を防ぎ、ヒトの健康維持に有用であると考えられる。さらに有用微生物群は土中で養分を作物に供給する調整能力があることが伺われた。