著者
丹羽 咲江 三輪 是
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.50-54, 1996-01-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
15

頑固な膀胱出血を呈した3例に対して胃粘膜保護剤であるマーロックスを使用し, 良好な止血効果を得た. 症例は, 放射線性膀胱炎1例, cyclophosphamideの副作用による出血性膀胱炎1例で, 治療抵抗性の膀胱出血のため, 重篤な貧血に陥っていた. 膀胱内にマーロックス原液を50~100ml注入して30~60分間留置し, この操作を1日1~2回, 連日して行った. 全例で明らかな副作用を認めることもなく, 注入開始後1~10日目(平均6.8日目)で止血された. マーロックスの膀胱内注入は止血効果が良好で, 副作用がなく, 手技も簡便であり, このように慢性に経過する難治性の膀胱出血に対して有効な治療手段の1つになりうると考えられた