著者
三野 たまき 丹羽 寛子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.793-802, 2008-11-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
20

若年女性の衣生活における浴衣の位置づけを, 女子大生 (長野市内在学) を用いてアンケート調査した.彼女らの97.2%に和服着用経験があったが, その着用機会は夏祭りや花火大会で, 浴衣の所有率が78.3%と最も高かった.洋服・振袖・浴衣のイメージを11項目で評価させ主成分分析したところ, 日常性と興味関心の2主成分が抽出された.振袖はより非日常へ, 洋服はより日常へ偏り, 両者の興味関心は同程度であった.一方浴衣は両者の中間に位置し, 興味・関心は最も高かった.彼女らは浴衣を「着物の中の浴衣」として捉えず, 「着物」とは別な, より身近な存在として捉えていた.また, 和服着用時の難点は動きにくさと圧迫に関する申告が多かった。着用機会があっても和服を着ないと答えた人は成人式で振袖を着た時に, 息苦しく, 動きにくく, 重く, 汚しそうで気疲れした経験を持っており, これが着物離れの一因であると考えられた.