著者
丹羽 幸江
出版者
京都市立芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

神社などで奏上される祝詞は、かつて音楽として歌われており、歌の原型となったと考えられてきたが、どのような音楽であったかはわかっていなかった。また祝詞が楽譜によって記されることがないことから、音楽史の中でも扱われることはなかった。ところが近年、近世初期の吉田神道における祝詞の楽譜が発見され、にわかに祝詞が音楽として研究されるべき端緒が開かれた。本研究は、過去の祝詞の楽譜を調査解読するとともに、現在、神社神道以外で伝承がなされるさまざまな祝詞の演唱や楽譜を分析することで、かつての祝詞が平家や能楽などのような語り物音楽的な特徴をもち、言葉を明確に伝えようとするタイプの音楽であったことを明らかにした。