著者
久保 夏樹 村山 顕人 真鍋 陸太郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.976-983, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
22

本研究は、米国ポートランド発祥のエコディストリクト認証制度を対象に、既成市街地において持続可能なまちづくりを展開する際に重視される点を明らかにすることを目的とする。地区スケールの持続性評価ツールの中で、エコディストリクト認証制度はパフォーマンス基準と市民参加を組み合わせて進化したプロセスベースツールとして分類された。エコディストリクトの枠組み開発の過程では、開発当初の環境面が重視されたサステナビリティ戦略から、地区の公正性やレジリエンスに視野が広がり、計画プロセスにおいて地区のリーダーシップが重要な要素として取り入れられた。エコディストリクトの枠組みと指標は地域の特性に合わせた目標設定が可能であり、枠組み自体が、地域で議論する際のコミュニケーションツールや教育ツールとして機能している。また、エコディストリクトが適用された15事例の分析より、枠組みは既存地区の再生における活用、コミュニティ再生における活用、開発プロセスにおける活用の3つの活用がみられた。