著者
鐘 俊生 木下 泉 久保 美佳 杉山 さやか
出版者
水産海洋学会
雑誌
水産海洋研究 (ISSN:03889149)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.65-77, 2003-05-31
被引用文献数
1

浦ノ内湾は土佐湾のほぼ中央部に位置し、東西に細長く伸びたリアス式の奥行き約12kmの内湾である。湾内には顕著な流入河川がなく、淡水は主として降雨によってもたらされる。潮位差は平均1mで、約400mの湾口幅で平均流速は1ktに達することから、毎秒500tの海水が潮汐によって湾口で流出入する。本湾では集魚灯と汀線付近の採集により、135種以上の仔稚魚が確認され、サッパSardinella zunasi、クロサギGerres equulusなど広塩性魚類だけではなく、カタクチイワシEngraulis japonicus、マイワシSardinops melanostictusおよびイソギンポ科Blenniidaeなどの狭塩性魚類も湾内に一定期間生息していることが確認された。そこで、これら湾内に多く生息していた仔稚魚が、どのような機構で進入するかを明らかにするために本湾口部で浮游期仔稚魚の調査を行った。今回、その一部である夏季調査について明らかになったことを報告する。