著者
佐々木 正義 蜜谷 法行 西内 修一 塩川 文康 高橋 豊美
出版者
水産海洋学会
雑誌
水産海洋研究 (ISSN:03889149)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.232-238, 2004-11

Age and growth of Sebastes schlegeli collected from the coastal waters of the Shiribeshi subprefecture in Hokkaido were studied. Observations of the otolith margin verified that annuli (outer margins of the opaque zone) were formed chiefly in June. This period accorded approximately with the parturition season (late May-mid-June) that was judged from the seasonal change in gonadosomatic index, occurrence of eyed eggs and histological observations of ovaries. The surface method of otolith aging was found to be inadequate for aging of S. schlegeli older than 7 years because of the underestimation of age. A significant difference was found in the parameters of the growth equations between females and males. Growth of S. schlegeli was expressed by the von Bertalanffy asymptotic growth function as TLt=633.1(1-exp^[-0.160(t+0.965)]) for females and TLt=417.7(1-exp^[-0.363(t+0.368)]) for males, where TLt is the total length (mm) at age t (after parturition in years). Based on previously published data, the growth rate of S. schlegeli in this region was relatively low, especially in males, because of low temperatures during the winter and spring and the shortness of the high growth period of 10-20℃.
著者
前田 明夫
出版者
水産海洋学会
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.319-330, 1989 (Released:2011-03-05)
著者
横山 寿 西村 昭史 井上 美佐
出版者
水産海洋学会
雑誌
水産海洋研究 (ISSN:03889149)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.142-147, 2002-08-31
参考文献数
17
被引用文献数
11

現在、日本の海面魚類養殖業は自家汚染に伴う環境問題に直面しており、その解決策として漁場環境を的確に評価する手法や漁場の環境容量を推定する手法を開発することが求められてる。移動性の少ないマクロベントスは局所的な個々の場所の指標性に優れる。この特性を利用して、マクロベントスの生息状況に基づいた増養殖漁場における種々の環境基準が提案され、マクロベントスを生物指標とした魚類養殖場のモニタリング調査や環境評価が行われるようになってきた。魚類養殖場では全世界的な汚濁指標種である多毛類がしばしば優占的に出現する。また、宮城県下のギンザケ養殖場では多毛類や甲殻類が特異的に高密度で分布することが報告されている。しかし、これらの知見は1~数カ所の養殖場から得られたものがほとんどで、環境条件や養殖規模が異なる多くの試料に基づいて養殖活動がマクロベントス群集に及ぼす影響を総合的に解析した例は見当たらない。前報では、養殖規模や地形が異なる熊野灘沿岸の22カ所の養殖場から夏季のマクロベントスと水質・底質の試料を得て、マクロベントスの群集パラメータと養殖生産量、養殖場の物理的環境要素の指標とした内湾度指数EDおよび化学的諸環境要因との相互の関係を解析した。本報では、同漁場で行った冬季調査の結果を加え、マクロベントス群集の種組成に及ぼす内湾度指数と養殖活動の影響を解析し、群集型の判別により漁場環境を評価するとともに、持続的な生産を可能にする適正養殖量を推定することを試みた。
著者
渡邉 久爾 杉山 秀樹 杉下 重雄 鈴木 直樹 櫻本 和美
出版者
水産海洋学会
雑誌
水産海洋研究 (ISSN:03889149)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.27-35, 2004-02-28
参考文献数
31
被引用文献数
1

本州日本海に分布するハタハタは、秋田沿岸と朝鮮半島東岸に主な産卵場を持つ2系群が知られている。本研究では、本州沖から韓国東岸までの日本海を13の海区に区分し、海区別のハタハタ漁獲量、CPUEから計算した密度指数および秋田県沖の体長組成を用い、上記2系群の分布について検討した。結果を以下に示した:(1)秋田県沖のCPUEの季節変動は4月と10月にピークを持ち、夏季には低下する;(2)産卵場に近い海区では10月から12月にかけて密度指数が高く、同時期の産卵場から離れた海区での密度指数は低い;(3)秋田県沖の加入開始年令は1才で、加入時期は3月から4月である;(4)各海区の密度指数の年変動は主成分分析により地理的に2分される。以上の結果から、秋田沿岸を起源とする系群は秋田県沖から若狭沖まで分布し、朝鮮半島東岸を起源とする系群は韓国東岸から能登沖まで分布することが示唆された。
著者
鐘 俊生 木下 泉 久保 美佳 杉山 さやか
出版者
水産海洋学会
雑誌
水産海洋研究 (ISSN:03889149)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.65-77, 2003-05-31
被引用文献数
1

浦ノ内湾は土佐湾のほぼ中央部に位置し、東西に細長く伸びたリアス式の奥行き約12kmの内湾である。湾内には顕著な流入河川がなく、淡水は主として降雨によってもたらされる。潮位差は平均1mで、約400mの湾口幅で平均流速は1ktに達することから、毎秒500tの海水が潮汐によって湾口で流出入する。本湾では集魚灯と汀線付近の採集により、135種以上の仔稚魚が確認され、サッパSardinella zunasi、クロサギGerres equulusなど広塩性魚類だけではなく、カタクチイワシEngraulis japonicus、マイワシSardinops melanostictusおよびイソギンポ科Blenniidaeなどの狭塩性魚類も湾内に一定期間生息していることが確認された。そこで、これら湾内に多く生息していた仔稚魚が、どのような機構で進入するかを明らかにするために本湾口部で浮游期仔稚魚の調査を行った。今回、その一部である夏季調査について明らかになったことを報告する。
著者
志田 修 西村 明
出版者
水産海洋学会
雑誌
水産海洋研究 (ISSN:03889149)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.232-238, 2002-11-30
被引用文献数
8

Miyakeは、春季の襟裳岬以東の北海道東部太平洋沿岸(道東海域)に分布する0歳魚のAbundance Indexが、VPAによって推定された太平洋系群の0歳魚の資源尾数と同様の年変動を示すことを観察している。また、近年の調査研究においても道東海域は、太平洋系群の幼魚および未成魚にとって重要な育成場であることが示されつつある。しかし、この道東海域における0歳魚の初期生活史については、産卵場との関連を含めてほとんど知見が得られていない。太平洋系群の主産卵場は噴火湾周辺海域と考えられている(Tsuji、1989)が、道東海域にも小規模な産卵場の存在が報告されており、春季には浮游期のスケトウダラ稚魚も採集されている。さらに志田は、秋期の道東海域に分布する0歳魚の尾叉長組成を調べ、孵化時期の異なる2群が存在する可能性を指摘している。従って、道東海域に分布する0歳魚がどの産卵場に由来するものなのかは、0歳魚の動態を明らかにする上でも、また太平洋系群の資源構造を明らかにする上でも解明されるべき重要な課題として残されている。近年、耳石内部に日周的に形成される微細な輪紋構造(日周輪)を利用して、仔稚魚期から底層生活移行後の0歳魚の孵化時期や産卵期の推定が行われており、ベーリング海やアラスカ湾においては、推定された孵化日組成と産卵期から、幼魚と産卵場の関係が論じられている。噴火湾周辺海域の産卵盛期は1月から2月であるが、道東海域はこれより遅く、3月であることが報告されている。産卵時期の違いは孵化日組成に反映すると推測されることから、この産卵期の違いを利用して0歳魚と産卵場の関係を検討することができる。そこで本研究では、1996年から1998年秋に道東海域において採集されたスケトウダラ0歳魚の耳石日周輪を計数して、その孵化日組成を調べ、産卵場との関連を検討した。