著者
久保村 健二 小幡 正一 飯島 孝
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

3年間の本研究の目標は、モデルインフレータブル構造体を地上大気中で折り畳み、展開、熱硬化により展開形状を固定し、宇宙でのモデルインフレータブル構造実験を提案する事にある。初年度(平成16年度)は、直径2mモデルを試作し展開硬化実験に必要な装置試作のためのデーターを取得した。2年目はインフレータブルモデルを製造し、展開制御を行った。最終年度は展開制御,展開形状、熱特性を評価し、インフレータブル構造体の大型化と宇宙実験を提案することにあった。研究2年目は、紐状のスプリング組み込み展開抵抗を制御する方法で展開はスムーズに行えたが、折りたたみ形状が予想以上に大きくなった。研究最終年度は、ストラト部は一定内圧力でワイヤーが展開し、さらに内圧力を増加させるとリング部の固定が外れる方式を採用し、ストラト部展開後にリング部が展開する二段方式で、直径2mモデルの展開制御に成功した。折りたたみ形状も予定のサイズであった。、昨年度問題であった展開形状の歪は、接着方法の改良と展開形状の高精度化により解決できた。2mの展開制御モデルに未硬化CFRPを積層し、展開・硬化実験を行い、本方式による宇宙インフレータブル構造体の製造が可能であることを確認した。昨年度設計した循環加熱装置を試作し、装置の熱特性を測定し、2mモデルの硬化実験を行い大型インフレータブル構造の宇宙での熱硬化に必要な循環容量と熱容量を推定した。超大型インフレータブル構造の宇宙での熱硬化には、熱移動に必要な気体熱容量には予想外の大きな熱容量が必要であり、インフレータブル構造のチューブ壁に過大な応力が発生し、重量・体積が大きくなり大型化に制限があることが判明した。中型(直径20〜30m)程度の宇宙インフレータブル構造体の製造は可能であるが、100mクラスの製造は、本方式のみでは困難であるかもしれない。