著者
飯島 孝四郎 伊藤 理恵
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.123-126, 2021-01-01

35歳,男性。8月下旬,栃木県の湿地滞にてヤマビルに両下腿を吸血された。その12日後より,前腕,背部,大腿部に多形紅斑が出現した。発熱などの全身症状は伴わなかった。ステロイド軟膏を外用し,消退した。ヒル咬傷自体は一般的な吸血害虫被害であるが,咬傷部位は容易に治癒し,その合併症もほとんどないことから医療機関を受診することは少ない。本邦においてヒル咬傷による多形紅斑を生じた症例は自験例のみであり,非常にまれな症例と思われた。しかし,昨今の地球温暖化や各地で頻発する水害によりヒル生息域の拡大が懸念されており,今後,多形紅斑以外にも多彩な皮膚症状を呈するヒル咬傷の症例が増加する恐れもある。
著者
飯島 孝良
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.53-77, 2018

<p>本論では、西田幾多郎(一八七〇―一九四五)や鈴木大拙(一八七〇―一九六六)の「即」の論理を、戦後日本に即応する形で展開するには如何にすべきかを構想した市川白弦(一九〇二―一九八六)の思索を追いかける。</p><p>市川の反省と問いとは、太平洋戦争に及んで禅の所謂「随処作主」が誤った方向へ転じたのではないか、ということであった。市川にとって、時代の趨勢と共に「不惜身命」が表され、禅が皇道へ従っていく有様は、痛切な反省を求めるものであった。そうした戦時体制への徹底批判を試みた市川は、大拙による「不二の自由」の看方から「無諍」という在り方を導出した。そこから市川は、「仏土は遠く離れた無限の彼方にしか無いから、即ち今=此処が仏土である」という「即」の構造として世界を捉えようと試みた。そしてそうした「即」の具体像として、「風流ならざる処も也た風流」という境涯を旨とした一休宗純(一三九四―一四八一)を論じるに到った過程を、本論は明らかにするものである。</p>
著者
久保村 健二 小幡 正一 飯島 孝
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

3年間の本研究の目標は、モデルインフレータブル構造体を地上大気中で折り畳み、展開、熱硬化により展開形状を固定し、宇宙でのモデルインフレータブル構造実験を提案する事にある。初年度(平成16年度)は、直径2mモデルを試作し展開硬化実験に必要な装置試作のためのデーターを取得した。2年目はインフレータブルモデルを製造し、展開制御を行った。最終年度は展開制御,展開形状、熱特性を評価し、インフレータブル構造体の大型化と宇宙実験を提案することにあった。研究2年目は、紐状のスプリング組み込み展開抵抗を制御する方法で展開はスムーズに行えたが、折りたたみ形状が予想以上に大きくなった。研究最終年度は、ストラト部は一定内圧力でワイヤーが展開し、さらに内圧力を増加させるとリング部の固定が外れる方式を採用し、ストラト部展開後にリング部が展開する二段方式で、直径2mモデルの展開制御に成功した。折りたたみ形状も予定のサイズであった。、昨年度問題であった展開形状の歪は、接着方法の改良と展開形状の高精度化により解決できた。2mの展開制御モデルに未硬化CFRPを積層し、展開・硬化実験を行い、本方式による宇宙インフレータブル構造体の製造が可能であることを確認した。昨年度設計した循環加熱装置を試作し、装置の熱特性を測定し、2mモデルの硬化実験を行い大型インフレータブル構造の宇宙での熱硬化に必要な循環容量と熱容量を推定した。超大型インフレータブル構造の宇宙での熱硬化には、熱移動に必要な気体熱容量には予想外の大きな熱容量が必要であり、インフレータブル構造のチューブ壁に過大な応力が発生し、重量・体積が大きくなり大型化に制限があることが判明した。中型(直径20〜30m)程度の宇宙インフレータブル構造体の製造は可能であるが、100mクラスの製造は、本方式のみでは困難であるかもしれない。