- 著者
-
小坂 共栄
緑 鉄洋
保柳 康一
久保田 正史
宮東 靖浩
- 出版者
- 日本地質学会
- 雑誌
- 地質学論集 (ISSN:03858545)
- 巻号頁・発行日
- no.37, pp.71-83, 1992-03-15
- 被引用文献数
-
18
北部フォッサマグナ新第三系の層序について検討をくわえ, それに基づいて古地理の変遷を論じた。関東山地北縁部や諏訪湖北方には中新世初期の海成層が小規模に分布しており, 当時太平洋に大きく開いた海域がフォッサマグナ中央部にまで入り込んでいた可能性がある。中新世初期〜中期初頭には海底火山の活動を伴いながら海域がフォッサマグナ中央部に広がり, 一次的にはこの地域が太平洋側と日本海側の海をつなぐ連絡通路となった時期もあった。中新世中期は水内帯地域で大規模な堆積盆地が形成されたが, 後期になると次第に埋積が進み, 海は一般に浅海化していった。鮮新世〜更新世前期には, 戸隠・荒倉山・聖山・塩嶺などの各地で安山岩質の火山活動が発生した。また大規模な断層に沿う落ち込みの結果, 大峰帯, 小諸陥没盆地などの新たな盆地が形成された。