著者
松浦 弘幸 玉川 雅彰 中野 正博 根本 哲也 久保田 正美
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.83-88, 2011-10-20 (Released:2017-09-04)
参考文献数
9

人体損傷を規定する要因は,大別すれば物理的要因と生物・医学的要因に分けられる.物理的要因は,生体に負荷されるが外力・撃力に関連して,主に4つの要因から規定される.それは受傷部分が転倒・落下する高さ,受傷部分の質量,受傷部分の面積,及び,受傷部分の大地との撃力応答時間である.この4つの情報を基にして,簡単な物理学的原理と回転・自由落下仮説を組み合わせて大小のダミー人形や,標準的な日本人男女の転落・転倒時における人体損傷の評価,解剖学的重症度AISやHICを計算して見積もった.男性ダミー同士が,5km/hで衝突し転落して大地で直接的に頭部,胸部等を強打するケースを想定した.防具なしでのこの衝突・転落は,致死的であるが,発泡スチロール素材の防具を用いれば,損傷レベルを著しく低値に抑えられる.時には,大きな外れ値の出現が起こるため,頭部以外では更なる防具の工夫が望まれる.