著者
松浦 弘幸 野田 信雄 小井手 一晴 福田 吉治 今井 博久
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.159-165, 2006-10-20
被引用文献数
1

我々は,都道府県別衛生統計データを用いて離婚率の社会的要因を重回帰分析した.従属変数は,離婚率である.説明変数は,個人家庭的要因,経済的要因,社会的要因,文化的要因,そして,要因の5つの領域で,30個の変数を用意した.個々のデータの正規分布性を確認した後,変数減少法と分散分析を行い,説明変数の絞込み最終的な重回帰式を決定した.離婚を促進する要因として,完全失業率,年間平均気温,共稼ぎ,核家族,貯金高が大きく作用し,逆に離婚を抑制する要因は,持ち家,年間雪日,学歴,所得が関与している.持ち家政策の推進と,所得の増加は,勤労青少年婦人福祉施設数,3次活動平均時間などの増加よりも効果が大である.
著者
根本 哲也 島本 聡 野方 文雄 松浦 弘幸 野田 信雄 中野 正博
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.137-142, 2005-10-20

生物の機能に学ぶバイオミメティクスは,従来の技術では解決できなかった問題をブレークスルーする方法として近年注目されている.クマムシ(Tardigrada)は極限状態下での生息が確認されており,その機能発現には,トレハロースによる組織安定化等の化学的な作用と体の構造を変化させる等の物理的な作用によると考えられている.本報ではクマムシを極限状態下に晒した場合に見られるtun状態とよばれる特殊な収縮状態へ移行する過程を観察した結果を報告する.その結果,クマムシがtun状態に至る過程で見られる外殻の構造変化,粒状の内容物の変化等の諸現象について観察することができた.
著者
松浦 弘幸 根本 哲也 久保田 怜
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.89-96, 2012-05-30 (Released:2017-09-02)
参考文献数
9

神経軸索で興奮伝導や量子干渉を伝える媒体として,準粒子・ポラリトンの存在を考えた.ポラリトンは神経軸索膜で活動電位に伴って発生する分極が量子的波動として,軸索上や軸索間に伝搬して行く状態を分極ベクトルの回転として量子モデル化したものである.量子的分極波がエファプスやシナプス干渉,興奮の伝導の媒介等,ミクロな視点からの神経電気現象を担い,この分極ベクトルの変動の伝播・ポラリトンが神経的電磁気現象を伝える情報担体である.準粒子としてのポラリトン質量は約10^<-25>Kg,スピン1の質量を持つ光子として表現される.裸のポラリトンの質量は,電子質量の1〜10倍程度(6.7×10^<-30>Kg)である.通常は,熱ノイズの擾乱に耐えるために,水和した状態で存在する.高々,10個程度の水分子が,裸のポラリトンに引き寄せられて準粒子を形成する.神経伝導のポラリトンが持つ基底状態の波長は1μmを中心に10μ〜0.6μmに存在する.ポラリトンは,シュレディンガー方程式やクライン・ゴルドン方程式に従う.Na+,K+の膜の内外への流入・流出が伝導原因のカレントを形成し,その効果を軸索方向や軸索外に伝搬するのが,媒介粒子ポラリトンの役割である.
著者
松浦 弘幸 野田 信雄 小井手 一晴 福田 吉治 今井 博久
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.159-165, 2006-10-20 (Released:2017-09-04)
参考文献数
10

我々は,都道府県別衛生統計データを用いて離婚率の社会的要因を重回帰分析した.従属変数は,離婚率である.説明変数は,個人家庭的要因,経済的要因,社会的要因,文化的要因,そして,要因の5つの領域で,30個の変数を用意した.個々のデータの正規分布性を確認した後,変数減少法と分散分析を行い,説明変数の絞込み最終的な重回帰式を決定した.離婚を促進する要因として,完全失業率,年間平均気温,共稼ぎ,核家族,貯金高が大きく作用し,逆に離婚を抑制する要因は,持ち家,年間雪日,学歴,所得が関与している.持ち家政策の推進と,所得の増加は,勤労青少年婦人福祉施設数,3次活動平均時間などの増加よりも効果が大である.
著者
中野 正博 松浦 弘幸 魚住 裕介 巨 東英 木村 真三 牧野 健一 金 政浩 野田 信雄 小井手 一晴 辺 培 今村 稔
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.115-121, 2006-10-20
被引用文献数
5

ナノ磁石の生体内中での振る舞いは全く分かっておらず、直接的な観測を行ってその相互作用の情報を得る必要がある。そこで大型放射光施設SPring8を用いて、色々な媒質中に置かれたナノ磁石の集合体に対して外部磁場を印加し、その条件下でのナノ磁石密度分布の時間変化をSPring8の放射光で観察し追跡することを目的として、本実験を行った。ナノ磁性体は、今回のビームラインでは、約30〜50μm程度の小さな凝集体まで観測できたこと、さらに、ナノ磁性体の凝集体を、外部磁場で誘導できることが結論できる。さらに、キャノーラ油液中で0.5mmの磁性クラスタの外部磁場による移動の観測から、それにかかる力と速度、さらには磁価の推定までを行い、実際の使用時の大きさの条件を明らかにした。
著者
阿部 裕輔 鎮西 恒雄 磯山 隆 満渕 邦彦 松浦 弘幸 馬場 一憲 河野 明正 小野 俊哉 望月 修一 孫 艶萍 今西 薫 吉澤 誠 田中 明 内山 賢一 藤正 巌 渥美 和彦 井街 宏
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR ARTIFICIAL ORGANS
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.21-26, 1997-02-15
被引用文献数
7

1/R制御により、完全置換型人工心臓ヤギで532日の長期生存を得た. 術後経過としては、ポンプ内に血栓を生じたため、左右の血液ポンプを交換したこと、胸部の圧迫壊死層から出血をきたし、貧血の状態となったことなどがあったが、制御は順調に継続できた. 生存期間を通して、血行動態は安定し、右心房圧も低値に保たれていた. 血液生化学データ上も異常は見られず、ホルモン値にも異常は見られなかった. 剖検時に腹水はなく、肉眼的には肝臓病変も見られなかった. また、心拍出量は、大動脈圧とは関係が見られず、総コンダクタンスと相関が見られ、術後2週間および出血後2週間はヘマトクリット値と逆比例の関係が見られたが、それ以外の時期にはヘマトクリット値や総タンパク値とはあまり関係がないなどの興味深い所見も得られた. 本研究により、1/R制御の生理的な長期安定性が確認できた.
著者
松浦 弘幸 小井手 一晴 野田 信雄
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.167-172, 2006-10-20

前の論文では,都道府県の衛生統計データを用いて離婚率の社会的要因を重回帰分析した.その結果,この説明変数を含む重回帰式を得た.しかし,説明変数の特質を調べるために,主成分分析や因子分析を行った.この過程で年間平均気温と平均雪日のように,重回帰式の符号と異なる効果を持つ変数が存在している.共稼ぎと学歴がその代表的な変数である.これらの説明変数を用いてクラスター分析を行うと,都道府県は概ね4つのグループに分割される.しかし,東京都,沖縄,そして北海道は,時に,他のグループのどれにも属さない.こ3つの都道府県には,特殊な事情」が存在しているのかもしれない.
著者
中野正博 松浦弘幸 玉川雅章 行正 徹 石川耕介 山中 真
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.87-99, 2017-12-28 (Released:2021-03-15)

転倒などで生じる複数の損傷が及ぼす深刻度を示すための総合評価指数を提案し,その指数を用いて転倒の保護防具の有効性を示す.転倒実験は,衝突試験用人体模型(人体ダミー)を用いて,日本自動車研究所(JARI)において行った.人体ダミーは,頭部,胸部,腰部に加速度センサが,首部には,力とモーメントの計測センサが設置されており,転倒時に計測された物理量のデータに基づいて分析を行う.これらの物理量のデータは連続量であり,これをもとに,連続量の身体各部の損傷の程度(AIS)を連続関数として定義し,それらを総合する評価指数としての生存確率Ps をより精密な指標として系統的に計算できるように拡張した.生存確率Ps を各種のヘルメットやジャケットなどの保護防具を着て転倒した場合で計算し,保護防具の有効性を示した.
著者
松浦 弘幸 伊藤 安海 根本 哲也 西井 匠 久保田 怜 中野 正博 玉川 雅章
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.53-62, 2011-10-20 (Released:2017-09-04)
参考文献数
9

人が日常的にロボットと共存する場面では,ロボットとの不用意な接触が原因とする力学的人体損傷が発生する.人に加えられる撃力のエネルギーは同じでも,人の部位により重篤となる撃力波形が異なり事から,身体部位ごとに損傷評価基準が異なる.我々は損傷評価モデルとして,人の転倒機序の分析モデルを提案した.人の転倒過程は(回転+自由落下運動)と仮定して,頭部,胸部,腹部,そして大腿部の損傷程度を見積もった.転倒モデルによる致命傷は,頭部骨折,胸部骨折,そして,腹腔内実質臓器の裂傷であり,その後の予後を大きく左右する.特に,頭部の損傷を評価する指標のHICは重要な概念であるが,他の部位には他の指標を用いた.さらに,撃力の吸収には,伸筋と屈筋が交互に振動をするように収縮・弛緩を繰り返し,あたかも,一個の粘弾性体の如く運動を行う.
著者
松浦 弘幸 玉川 雅彰 中野 正博 根本 哲也 久保田 正美
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.83-88, 2011-10-20 (Released:2017-09-04)
参考文献数
9

人体損傷を規定する要因は,大別すれば物理的要因と生物・医学的要因に分けられる.物理的要因は,生体に負荷されるが外力・撃力に関連して,主に4つの要因から規定される.それは受傷部分が転倒・落下する高さ,受傷部分の質量,受傷部分の面積,及び,受傷部分の大地との撃力応答時間である.この4つの情報を基にして,簡単な物理学的原理と回転・自由落下仮説を組み合わせて大小のダミー人形や,標準的な日本人男女の転落・転倒時における人体損傷の評価,解剖学的重症度AISやHICを計算して見積もった.男性ダミー同士が,5km/hで衝突し転落して大地で直接的に頭部,胸部等を強打するケースを想定した.防具なしでのこの衝突・転落は,致死的であるが,発泡スチロール素材の防具を用いれば,損傷レベルを著しく低値に抑えられる.時には,大きな外れ値の出現が起こるため,頭部以外では更なる防具の工夫が望まれる.
著者
松浦 弘幸 根本 哲也 野田 信雄 中野 正博
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.123-129, 2005-10-20 (Released:2017-09-04)
参考文献数
17
被引用文献数
2

日本の合計特殊出生率が1.39を記録し,今現在もさらなる低下を続けていると考えられている.これは,現人口を安定して維持できる人口置き換え水準(replacement level)の2.1を大きく下回っている.「出生力の減退が人口減少をもたらし,また,人口の高齢化を引き起こす」,「これからは,衰退する社会だ」という意見がよく聞かれる.事実,人口減少社会は悪いイメージで語られる場合が多い.本論文では,生物としての根元である"産むこと=出生力"に照準を合わせ,「出生力はどのようにして決まり,出生力回復の処方箋はあるのか?」に関して色々の側面から考察を加え、統計データと、人口の推定式を用いて、将来人口を推計する。これを基に、人口減少を支えるにはどうすべきかについて議論する.
著者
松浦 弘幸 根本 哲也 久保田 怜
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.71-76, 2012-05-30 (Released:2017-09-02)
参考文献数
9

我々は,従来から有名な情報理論のベイズ定理を量子力学的方法を用いて書き換えた.それには,古典的な確率定理を全て確率演算子,確率振幅,そして,演算子に読み替える必要があった.古典的(従来のベイズ定理)と量子力学形式の最大の相違は,干渉項の有無である.量子力学的な表現では,初期状態ベクトルがたとえ純状態であっても,終状態では混合することを要求する.これは,純状態の重ね合わせの原理に相当する.ニューラルネットでは,この量子混合状態は,エファプスのような軸索間の干渉,また,神経終板,シナプス等が想定されている.神経の結合様式では,図式的には収束型であるが,数学的方法としては発散タイプの推計を行う事になる.結合部では多くの情報が混合するが,この中でも幾らかは以前の情報を保持している.この情報の拾い出しが量子力学の期待値を取ることに相当する.
著者
松浦 弘幸 根本 哲也 野田 信雄 中野 正博
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.131-136, 2005-10-20
被引用文献数
2

現代日本社会で見られる人口減少の真の理由を明らかにするには、種としての人間が生物学的にどのような未来をたどるかという設計医療工学の視座にたって人口減少社会を観察する必要がある.このことは,人口減少社会の別の側面を見せてくれるばかりか,"生物集団としての人間"を知るためにも極めて重要な視点といえる.本論では、データからモデルを組み立てる帰納的方法と,仮説を立て検証を行う演繹的方法を併用し,数理モデルを形成する.しかる後,現実の社会システムに応用してモデルの完成度高める,予測推計・分析および政策立案に応用する方法を提案する。
著者
松浦 弘幸 神谷 直樹 石川 耕介 近藤 理恵 松崎 照美 行正 徹 中野 正博 玉川 雅章
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.97-106, 2013-10-12

生活支援機器では,機械中心の安全概念と供に人間中心的安全が重要である.これは,人間の解剖生理学的特性に基づいて機械に各種の機構・機能的クライテリアを要請するものである.リスクは相対的で他者との比較で議論される生存率や死亡率として出力される.リスク選択は、便益と不利益を考慮して死亡リスクを10^<-5>〜10^<-6>に制御するが,最終的判断(許容レベル)は,社会の成員に委ねられる.TRISSから,ISS3の受傷者の死亡リスクは0.0035となり,これは,機器を毎日4時間程度使用し,人の寿命90年を想定すると,生涯死亡率5.8%,平均余命損失2.7年,年間死亡率0.0007と計算される.この数値は,産業別死亡率や自動車事故や不慮の事故死亡率よりも遥かに小さく,自然災害による死亡と同比率である.TRISSは,同一部位に存在する多発性外傷と高齢者の年齢の影響を考慮していない.しかし,単一外傷による軽傷や重症のリスクアジャスターとしては,ACSOTと類似の結果を与える.
著者
松浦 弘幸 小井出 一晴 野田 信雄 根本 哲也 伊藤 安海 中野 正博 福田 吉治 今井 博久
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会大会講演論文集 : BMFSA
巻号頁・発行日
no.20, pp.147-150, 2007-08-02

我々は,衛生統計データを用いて離婚率の社会的要因を重回帰分析した.従属変数は,離婚率である.説明変数は,個人家庭的要因,経済的要因,社会的要因,文化的要因,そして,要因の5つの領域で,30個の変数を用意した.個々のデータの正規分布性を確認した後,変数減少法と分散分析を行い,説明変数の絞込み最終的な重回帰式を決定した.離婚を促進する要因として,完全失業率,年間平均気温,共稼ぎ,核家族,貯金高が大きく作用し,逆に離婚を抑制する要因は,持ち家,年間雪日,学歴,所得が関与している.持ち家政策の推進と,所得の増加は,勤労青少年婦人福祉施設数,3次活動平均時間も増加よりも効果が大である.
著者
松浦 弘幸 中野 正博 野田 信雄 小井手 一晴 伊藤 安海 根本 哲也
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.27-33, 2007-07-31

我々は,光線力学療法に使用される電磁波の照射エネルギーと温度との関係を表す基本式を提案した.電磁波療法は,電磁波の熱的側面が利用されたものであり,治療計画の立案には,理論的な裏づけが重要である.我々の計算によれば,比熱0.3cal/g.Kの標的組織に100mW/cm^2の低出力パルスレーザーを1秒間照射した場合,局所的な温度上昇は,0.67K程度に達すると予測される.この1秒間で熱が拡散する深さは,0.1cmと見積もられる.また,熱平衡時では,筋肉の温度上昇度合いは高々2.4Kであり,体温が37度であることを考慮すれば,低出力レーザーや電磁波は,温熱療法に利用できる可能性がある.一般には標的組織の厚さが有限であるために,標的組織の背後からの熱反射を考慮する必要があり,温度上昇は本論文の見積もり値よりも大きくなる.これらの点を改良するには,反射率,吸収係数,熱伝導率などの物性値に温度依存性を知る必要がある.
著者
松浦 弘幸 久保田 怜 根本 哲也
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.77-82, 2012-05-30

我々は,収束点としての終状態ベクトルが多数存在する場合の量子ベイズ形式を考えた.各々の神経細胞からの雑音は,エファプスやシナプス間干渉を通して,通常の軸索伝導を修飾する.また,雑音が軸索伝導に対して,正しい情報伝達の強化(正しく伝達),または,弱化(誤りを起こす方向に作用)として作用する場合や,また,通信経路の途中で誤りを犯すタイプも考慮した量子ベイズを与えた.通信経路での誤りの有無に拘わらず,伝播演算子の定義法の軽度な変更のみで,量子ベイズ形式は同じ表現形式となった.古典的ベイズと量子ベイズ形式の相違は,干渉項の有無である.さらに,軸索間干渉であるエファプスを含めた相互作用の連関図は,終状態ベクトル|A_j^B>に収束する量子アアミダクジと形式的にも計算法も似てくる事が判明した.
著者
松浦 弘幸 久保田 怜 根本 哲也
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.83-87, 2012-05-30

ポラリトンが近似的にはシュレディンガー方程式に従う.我々は状態ベクトルを用いて量子ネットワーク系を組み立て,複雑な系の特性を解析する有力な手段の一つとして摂動法を提案した.さらに,ポラリトンの量子力学的方程式を基礎として,古典的ニューラルネット理論を量子神経回路に書き換えを行った.元来,量子力学の基礎となる"重ね合わせの原理は,古典的ニューロネット理論と類似点も多く,両者の間に対応関係が成立する.しかし,量子神経回路理論の入出力は複素数であるが,他方,古典論の入出力は実数であり,このために神経細胞間での量子干渉効果は存在しない.ポラリトンを用いた量子ベイズ形式の表現を与えた後,第1層,第2層の状態ベクトルと伝播確率振幅の規則を定義した.この一連の規定により,多段的な量子神経回路や多様な形態の回路網への適応が可能となった.
著者
松浦 弘幸 根本 哲也 久保田 怜
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.89-96, 2012-05-30
参考文献数
9

神経軸索で興奮伝導や量子干渉を伝える媒体として,準粒子・ポラリトンの存在を考えた.ポラリトンは神経軸索膜で活動電位に伴って発生する分極が量子的波動として,軸索上や軸索間に伝搬して行く状態を分極ベクトルの回転として量子モデル化したものである.量子的分極波がエファプスやシナプス干渉,興奮の伝導の媒介等,ミクロな視点からの神経電気現象を担い,この分極ベクトルの変動の伝播・ポラリトンが神経的電磁気現象を伝える情報担体である.準粒子としてのポラリトン質量は約10^<-25>Kg,スピン1の質量を持つ光子として表現される.裸のポラリトンの質量は,電子質量の1〜10倍程度(6.7×10^<-30>Kg)である.通常は,熱ノイズの擾乱に耐えるために,水和した状態で存在する.高々,10個程度の水分子が,裸のポラリトンに引き寄せられて準粒子を形成する.神経伝導のポラリトンが持つ基底状態の波長は1μmを中心に10μ〜0.6μmに存在する.ポラリトンは,シュレディンガー方程式やクライン・ゴルドン方程式に従う.Na+,K+の膜の内外への流入・流出が伝導原因のカレントを形成し,その効果を軸索方向や軸索外に伝搬するのが,媒介粒子ポラリトンの役割である.