- 著者
-
牧 孝
中野 正博
隼田 和男
森田 浩介
- 出版者
- 産業医科大学学会
- 雑誌
- 産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, no.1, pp.19-51, 1980-03-01
バナジウム(^51V)による陽子の弾性・非弾性散乱の実験を, 陽子エネルギー5.700-5.962MeVで行った. 励起関数については, 測定角度90°,105°,118°,135°,150°,163°の6点を人射陽子エネルギーのステップ2keVで測り, ^51Vの基底状態から第4励起状態までの陽子グループの励起関数を得た. 角度分布は50keVステップで測定した. 得られた散乱断面積は陽子の入射エネルギーによって大きなゆらぎ現象を現わしている. 解析は統計理論に基づいて行った. エネルギー相関, 角度相関, チャンネル間相関, 確率分布, 分散の解析から平均準位巾τは2.0keV, 複合核の寿命τは3.3×10^-19秒,核半径係数r_0は1.1.8×10^-13cm,有効チャンネル数N_offは5-25, が導けた. 核反応機構は統計理論, Hauser-Feshbachの複合核理論や光学模型による計算, および角度分布の解析から, 断面積のうち直接反応過程からの寄与の割合が(p,po)反応では90-95%, (p, p1), (p, p2)反応では60-80%, (p, p_3), (p, p4) 反応では0%であることが分った.(1979年12月13日 受付)