著者
久保田 潤一郎
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.57, pp.50-53, 2008-06-27

内部統制は、内部統制システムの整備や運用の強化だけではなく、経営者や従業員が法令や行動規範、内部規程等の意義を理解し、自主的、自律的に遵守することによって実効性が高まるといえる。それを実現するためには、事業活動に関係する法令とともに行動規範や規程・規則を含めた内部規範と日々の行動を結び付けることが重要となる。また、個人の倫理観に委ねるのではなく、企業内部の各組織に倫理的な価値判断と行動を促す浸透活動や教育が重視されなければならない。そしてOJTやOFF-JTを通じて、法令違反や反倫理的な行動によって会社や個人が被るダメージを具体的に示し、社会規範や行動規範に基づいた判断、行動を促す教育が求められる。その代表的な研修がケース・メソッドを活用した倫理・コンプライアンス教育である。本稿では、内部統制の目的の一つである「業務活動における法令等の遵守」について、内部統制システムにおける「基本的要素」と「企業倫理の制度化」の連携を検討し、企業内部に倫理・法令遵守を浸透させる要件を倫理・コンプライアンス教育を基に考察する。