著者
山崎 由美子 中山 和美 久保田 隆子 寺田 眞廣
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.405-413, 2005-01
被引用文献数
2

【目的】看護系女子学生の喫煙状況や身体症状などの実態を調査し, 効果的な喫煙防止対策を模索することを目的とする。【研究方法】対象は神奈川県内の看護系大学1年生と短大2, 3年生の320人で, 2003年2〜3月に質問紙調査を実施した。倫理的配慮のもとに同意が得られた264人からの回答を集計, 解析した。【結果】現在喫煙している人を喫煙群, 今まで喫煙したことがない入を非喫煙群, 1ヵ月以上禁煙している人を禁煙群と分類した結果, 喫煙群39人(14.8%), 非喫煙群203人(76.9%), 禁煙群22人(8.3%)であり, 短大生の喫煙率, 禁煙率は大学生に比べ有意に高かった。また, 喫煙群では家族, 特に母親の喫煙率が他の群に比べ有意に高く, 「痰が絡む」「咳が出やすい」「食事がおいしくない時がある」「寝起きが悪い」という身体症状も有意に高かった。FTND(Fagerstrom Test for Nicotine Dependence)によるニコチン依存度評価では, 5人が重度依存に該当した。【考察】喫煙状況は学年や学歴による違いが示唆された。また, 将来母になる可能性のある学生に情報提供することと家族を交えた禁煙教育の必要性が示唆された。ニコチン重度依存者に対しては, 適切な治療を開始するための情報提供とサポート体制を整える必要がある。