著者
久米井 晃子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.116-127, 1995
参考文献数
31
被引用文献数
11

東京周辺のAD患者157名について, methylene blue agar (MBA) 法によって, 患者宅のダニ相とその季節消長を検討した. その結果, ダニはカーペット, 畳及び畳の下に多く検出され, ほとんどの場所では夏季を中心に増加する傾向を示した. しかし, ソファー, 座布団などでは冬季に増加していた. 一方, 防ダニ製品ではダニが少なかった. ダニ相のデータに基づいて集学的ダニ対策を難治のAD患者34名に勧め, 1又は2年後の同じ月±1ヵ月の時期に, 同季節のダニ相と臨床症状の変化を検討した. 34例中17例において十分にダニ対策が実施され, その場合ダニ数が30%以下に減少した率は82%, 臨床症状の改善率(著明改善+改善)は88%であった. 全治に近い症例が7例存在した. ダニ対策が不十分な12例又は, ほとんど実施されなかった5例合計17例では, 臨床症状の改善率は35%であった. 以上から, ADが難治の時, とくにダニアレルギーが明瞭な場合は, ダニ相の検査と十分なダニ対策が有効な原因療法と考えられた.