著者
中島 勇介 武田 誠 久納 匠 松尾 直規
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.I_1465-I_1470, 2017 (Released:2018-02-28)
参考文献数
10

近年,大規模な浸水災害に関する検討が進められている.その中で,都市の地下空間の浸水に対する脆弱性が指摘され,検討も進められているが,まだ十分な状況とはいえない.本研究では,津波を外力とする浸水災害について,名古屋を対象に地下鉄の浸水に着目した数値解析的研究を行った.ここでは,津波解析モデルおよびネスティングモデルを構築し,地下鉄を有する都市の浸水解析を実施した.本研究により,内閣府で想定されている東海・東南海・南海地震による津波では,堤防が無い(崩れた)場合には大規模な浸水被害となるが,堤防が有る場合には浸水被害も小さいことが示された.また,堤防が無い場合,地下鉄名港線では水没する危険性も示されたが,実際には地下への流入を防ぐ対策が採られており,その対策の効果検証は今後の課題として残った.