著者
曽我 太佐男 佐々木 秀昭 白井 貢 九嶋 忠雄
出版者
The Japan Institute of Electronics Packaging
雑誌
サーキットテクノロジ (ISSN:09148299)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.380-394, 1993-07-20 (Released:2010-03-18)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

プリント配線板上に搭載される電子部品のスルーホール継手構造について, 温度サイクル加速試験による信頼性評価を行った。スルーホール継手のコネクタなしのピン構造におけるクラック進展要因を明らかにし, クラック進展を低減するための対策を示した。この構造では, 汎用のガラスエポキシ基板に対して, ピンと基板間の熱膨張差で生ずるはんだの最大せん断歪とクラック発生率との相関性は得られないことがわかった。そこで, ピン, 基板, はんだ間の熱膨張差で発生する軸方向に作用する最大応力で評価した結果, 最大応力とクラック発生率との相関性を見出した。その結果, 応力が大なるほどクラック発生率が高いこと, ガラスエポキシ基板の場合, ピン径が大なるほど応力は小さく, クラック発生率が低いこと等を明らかにした。他方, 実用的な構造であるコネクタ付ピン継手のクラック進展についても検討した。クラック進展の主な駆動力は, コネクタとプリント配線板との基板面方向の熱膨張差で生ずる曲げによる歪である。コネクタ両端部のピン継手におけるクラック進展は中央部ピン継手に比べ顕著に大であり, コネクタの構造, 寸法効果が大きいことがわかった。一般的に, スルーホール継手構造においては, ピンが穴の周囲で拘束されるため, 初期にフィレット部でクラックが早期に発生しても, クラック進展速度はクラック進展と共に低下してくる。このため, スルーホール継手はフリップチップ形, フラットパッケージ形継手と比べ, 高信頼構造であると考えられる。