著者
早川 照美 乾 宏子 市場 丈規
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3+, pp.110-113, 2017-05-01 (Released:2017-10-07)
被引用文献数
2

本研究は日本色彩学会第47回全国大会において,パーソナルカラー診断時にドレープが肌の色の見えに及ぼす影響について反射光の影響を除いた条件で観察した研究の続編である.前大会では「黄み」のピンクと「青み」のピンクのドレープにそれぞれ同時に手を置いたときの肌の色の見えが「同化」ではなく色相対比であることを報告した.今回はブラウン,イエロー,グリーン,ブルー(肌の色の類似~補色色相)の異なるドレープに手を置いて肌の色の見えを観察した.同時に異なるドレープの間にグレイのドレープを置いて単独で手の色の見えを観察した.その結果,肌の色と類似または対照色相のイエロー,グリーンでは色相対比が観察できた.一方,ブラウンでは肌と明度対比が起こり複雑な見えをした.肌の色の補色色相であるブルーのドレープに置いた手は色相的には複雑な見えを示したが,肌の色の彩度が高く感じられたことにより補色対比が起きていることが見て取れた.このように背景色に置いた肌に起こる主な視覚効果は色票における背景色と図色の関係と類似しているが,ドレープの明度が肌の明度と著しく異なり明度対比が生じる場合には肌独特の見え方をしたことを報告する.
著者
高松 操 石上 桂子 乾 宏子 丸山 眞澄 市場 丈規 髙橋 晋也
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.102-105, 2017

25名の女性の頬を測色し,分光反射率曲線と物理測色値を得た.また,510-600nmの凹み面積をヘモグロビン(Hb)影響度として算出した.同時に,「色白さ」や「色み(赤み−黄み)」,「透明感」といった肌の印象を視感評価した.Hb影響度を含む測色値と視感評価の結果を比較した結果,肌の色特有の色の見えを確認した.明度が高い肌(L*>68)は,色相値やHb影響度に依らず「色み(赤み−黄み)」評価が中庸となり「色白」と評価された.明度が低い肌(L*<63)はHb影響度が高い場合が多く,色相は赤み寄りであったにも関わらず「色黒」で「黄み」と評価された.中明度の肌(63≦L*≦68)では,Hb影響度が高く赤み寄りの場合は「赤み」で「色白」に,Hb影響度が低く黄み寄りの場合は「黄み」で「色黒」と評価されやすかった.このように,「色白さ」は明度や白さだけでなく色相にも依存する一方,「色み(赤み−黄み)」の判断も色相だけでなく明度や白さに依存するという結果が示された.この結果から,肌の色を高明度・中明度でHb影響度が高い・中明度でHb影響度が低い・低明度の4タイプに分け,分光反射率曲線と肌印象視感評価プロフィールからその特徴をまとめた.