著者
熊野 七絵/石井 容子/亀井 元子/田中 哲哉/岩澤 和宏/栗原 幸則 石井 容子 亀井 元子
出版者
独立行政法人国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.1, pp.175-188, 2005-03-15
被引用文献数
1

国際交流基金関西国際センターで実施されている外交官・公務員日本語研修では、職務に寄与する口頭運用能力の習得に重点が置かれており、その評価のため外交官・公務員研修独自のオーラルテスト開発が進められてきた。本稿では、評価の妥当性を検証すべく行った平成14年度の最終オーラルテストの分析結果から、初級レベルの外交官・公務員日本語研修で目指すべき日本語運用能力や評価のあり方について考察する。分析の結果、初級レベルであっても、基本的な文型に専門性の高い語彙を入れ込み、結束性ある段落を構成することで、ある程度まとまった専門的な内容を伝えられること、会話の開始や展開のキーとなる表現の使用が職務上の場面に対応するために重要な要素であることがわかった。あわせてこの分析結果をもとに行った評価基準改訂について報告する。
著者
登里 民子/亀井 元子 亀井 元子
出版者
独立行政法人国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.1, pp.161-174, 2005-03-15

本稿では、平成2年に日本語国際センターで始まった司書日本語研修の13年間の歩みを振り返ると同時に、平成15年度に新規開講した専門プログラムについて紹介する。15年度には図書館関連の専門科目として、「図書館語彙」「図書館会話」「図書館読解」「日本事情概論」の4科目を開設し、それぞれの基礎的なテキストを開発した。図書館関連科目の拡充を図った結果、専門プログラムの総時間数は30時間(平成14年度)から87時間(15年度)へ約3倍に増加し、研修参加者の時間的負担は増したが、研修終了時のアンケート調査では、専門日本語科目に対する評価が高まったことが確認された。これは、(1)科目の細分化と体系化(2)テキスト作成による内容の充実(3)前期と後期のワークロード是正、の結果であると考えられる。 今後の課題としては、(1)専門科目の評価指標の確立 (2)専門聴解科目の開発 (3)図書館事情のテキスト作成、の3点を挙げたい。
著者
亀井 元子/浜口 美由紀 浜口 美由紀
出版者
独立行政法人国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.3, pp.169-182, 2007-03-15

国際交流基金関西国際センター司書日本語研修では、司書として職務上必要とされる日本語能力の向上だけでなく、日本の図書館事情の理解も研修目標の一つとしている。平成15年度以降、専門日本語科目として「図書館語彙」「図書館会話」「図書館聴解」などが開講されたことにより、それまで図書館実習や見学に必要な専門日本語教育を行ってきた「図書館事情」が日本の図書館事情を理解する上で必要となる知識の習得へ重点を移すことになった。その結果、専門知識を有する司書との協働による授業の実施や教材作成の割合が増加し、専門知識の習得に成果が認められるようになった。本稿では、平成17年度に実施した司書と日本語教育専門員の協働による「図書館事情」の実践報告を行うとともに、図書館実習受入機関や研修参加者に対して行ったアンケート調査をもとに、「図書館事情」の今後の方策について述べる。