著者
柴原 智代
出版者
独立行政法人国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.4, pp.87-101, 2008-03-17

本稿では、研修評価の理論と現状について整理し、研修機関の評価システムを検討した上で、センターの評価システムに関する提案を行った。センターの研修事業は公益事業であり、研修成果が個人ではなく、「組織の業務能力の向上」につながっていることを示す必要がある。そのために、「組織の業務能力の向上」を研修事業のミッションとして明確化し、現在の研修プログラムを戦略的に再編成し、研修参加者を送り出す機関の組織的関与を引き出すツールを開発することを提案した。
著者
熊野 七絵 川嶋 恵子
出版者
独立行政法人国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.7, pp.103-117, 2011-03

今、世界中で日本のアニメ・マンガは大人気であり、日本語学習者の多くがアニメ・マンガをきっか けに日本語を学び始めると言われている。しかし、アニメ・マンガの日本語には、教科書や辞書には載 っていない表現も多く、アニメ・マンガを日本語で理解するのは難しい。そこで、関西国際センターで は、趣味から日本語学習への橋渡しとなるサイトをめざし、海外で人気のあるアニメ・マンガに現れる キャラクターやジャンルの日本語を楽しく学べるE ラーニングサイト「アニメ・マンガの日本語」を 開発した。海外の現状や学習者のニーズ調査に基づき、(1)アニメ・マンガと日本語学習をつなぐ(2) 学習者の好きなアニメ・マンガの世界観を生かす(3)楽しく学べ、自律学習につながるをサイト開 発の基本方針とした。サイト公開後、8ヶ月で168カ国から155万ページビューを超えるアクセスがあり、 ユーザーの声をサイト改善に生かしている。
著者
三浦 多佳史 プラパー セーントーンスック
出版者
独立行政法人国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.10, pp.85-99, 2014-03

国際交流基金バンコク日本文化センター(以下JFBKK)では、タイの中等教育で、週1、2回の少ない時間で日本語を学ぶ学習者を対象にした新しい教材の開発を進めてきた。『こはるシリーズ』と呼ばれるその教材に関し、ひらがな教材『こはるといっしょに ひらがなわぁ〜い』についてはすでに開発過程の報告を行ったが、本稿では続いて出版された場面会話と日本文化を学ぶ教材についての開発過程を報告し、拡大する中等教育段階の日本語学習者に必要とされる教材とはどのようなものかについて考察した。この教材の完成によって、タイの中等教育では、たくさんの時間を使って学ぶ学習者向けの教材と、少ない時間を使って学ぶ学習者向けの教材の2種類が用意されたことになる。
著者
大舩 ちさと 和栗 夏海 フロリンダ アンパロ A パルマヒル フランチェスカ M ヴェントゥーラ
出版者
独立行政法人国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.7, pp.135-150, 2011-03

フィリピンでは2009年6月から教育省により日本語が選択外国語科目として試験的に導入されたことを 受け、報告者らは高校生向け日本語リソース型教材の開発に取り組んでいる。教育省の掲げる目標を受 け、本教材ではフィリピンの高校生が身に付けるべき力を、「Curiosity」を有し「Self-improvement」し ながら、「Discover and Fulfill one's MISSION」を目指すものと位置づけた。そして、これらの力を身に 付けたか否かを確認する方法として、【内省する力】、【学習をモニターする力】、【管理する力】を見 ることにした。学校教育では期末試験として筆記試験が実施されることが多いが、これらの力の評価に は適さないため、報告者らは筆記試験では測れない力を測る評価ツールの開発を試みた。本稿では、こ の評価ツールの概要と開発にあたり考慮した点、現場からのフィードバックについて報告する。
著者
来嶋 洋美 柴原 智代 八田 直美 Hiromi KIJIMA Tomoyo SHIBAHARA Naomi HATTA
出版者
国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.10, pp.115-129, 2014

『まるごと 日本のことばと文化』は国際交流基金が開発中の相互理解のための日本語教科書である。本稿では『まるごと』が、日本語の運用力と異文化理解をどう捉え、教材化したかを述べた。まずJF日本語教育スタンダードで従来の日本語教育におけるレベル設定を見直し、これまで認識されていなかったA1レベルという熟達度を取り入れた。また、学習目標は具体的な言語行動の形(Can-do)で表わし、これによって運用力も評価する。次に日本語の教え方を見直し、学習活動を考える上では習得の認知的プロセスを参照し、言語インプットを重視した指導法を取り入れた。異文化理解能力を養うためには、知識、技能、態度の側面に働きかけた。さらに本稿では相互理解につなげるために『まるごと』で学習する談話の例についてもとりあげる。現在、海外で本書を試用している教師からは、学習者に聴解力がついてきた、積極的に話そうとするなど、肯定的な反応を得ている。
著者
中尾 有岐 セーントーンスック プラパー
出版者
国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.13, pp.101-116, 2017

『あきこと友だち』は、タイ中等教育向けに作成された初級教科書である。本稿では2017年出版予定の改訂版について、その方針や改訂点、試用の結果などについて報告する。改訂版ではコミュニケーション能力向上を目指すことを基本方針とし、「どんなばめん?」という課の目標場面を示し、ターゲットの語彙や文型に気づかせる聴解練習を追加した。他には、何ができるようになったかを意識させるために、目標を具体的な説明に書き換えたり、Can-do チェックを設けたりした。さらに、学習者が個人やグループで推測や分析、調査などの考える練習を追加し、協働する機会を増やした。「どんなばめん?」の試用結果では、学習者からは「頭を使う練習だから面白い」、「語彙・文法がわかった」、教師からは「生徒の動機づけになる」、「使いやすい」、「導入の時間が節約できた」など肯定的な反応を得た。
著者
古内 綾子 三本 智哉 五十嵐 裕佳 八田 直美 エフィ ルシアナ
出版者
国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.13, pp.87-100, 2017

筆者らは、インドネシアの日本語教育支援の一環として、2013年に発表された国家カリキュラム(以下、K2013)に準拠した高校教科書『にほんご☆キラキラ』(以下、本書)の開発を行ってきた。K2013では、将来、国内外で活躍する人材育成のために、教育文化省が定めた能力(コンピテンシー)の育成を目指しているが、教科・科目で取り上げられる知識や技能とともに、規律や協調性、創造性、責任感といった態度面のコンピテンシーの育成も目標とされている。本稿では、目的・目標と学習プロセス、学習評価の点からK2013を概観した上で、本書の概要を紹介し、その特徴である、態度面のコンピテンシーの育成と日本語学習の統合を目指したプロジェクトワークについて述べる。本書は、インドネシア人教師による試用を行っており、試用結果を踏まえた改善を行い、現在、出版の準備を進めている。今後の課題として、教師を対象としたワークショップの実施と、学習評価の方法の検討が挙げられる。
著者
川嶋 恵子 和栗 夏海 宮崎 玲子 田中 哲哉 三浦 多佳史 前田 純子 Keiko KAWASHIMA Natsumi WAGURI Reiko MIYAZAKI Tetsuya TANAKA Takashi MIURA Sumiko MAEDA
出版者
国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.11, pp.37-52, 2015

JF 日本語教育スタンダード準拠の海外の成人向け教科書『まるごと日本のことばと文化』の開発に合わせ、関西国際センターでは、この教科書を使って学ぶ学習者のためのサポートサイト「まるごと+(まるごとプラス)」を開発した。「『日本語を使ってできること』が増やせる」、「『リアリティ』のある練習ができる」、「大人が『楽しく使える』」の3つをキーコンセプトとして定め、課題遂行を意識した練習、異文化理解のための情報やきっかけを提供するサイトを目指すこととした。「まるごと+」は教科書の「入門A1」、「初級1 A2」の2つのレベルに対応した種々のコンテンツを提供しており、動画を使った会話練習や異文化理解のためのコンテンツを中心に、学習者や教師から好評を得ている。本稿では、「まるごと+」の開発方針とそれをどのように具現化したか、また、サイトの反響を報告する。
著者
羽吹 幸 長田 優子 磯村 一弘 Miyuki HABUKI Yuko NAGATA Kazuhiro ISOMURA
出版者
国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.9, pp.59-72, 2013

映像教材「エリンが挑戦!にほんごできます。」は、「日本語学習」と「文化理解」を目標とした映像素材を提供することを意図して制作された教材で、テレビ版、DVD教材、WEB版とメディアを変えて展開してきた。本稿では2010年から公開しているWEB版のアクセスログと2回のユーザー評価の結果を元に、WEB版「エリン」が世界の日本語学習者からどのように受け入れられたかを考察する。アクセスログによる利用状況では、継続的にページビュー数を増やし、かつ明確な目的を持ったユーザーに利用されている様子が伺える。2回のアンケート調査では非常に高い肯定的評価が得られた。特に、独学に適したコンテンツやインタラクティブな学習方法が評価されており、サイトの制作意図が効果的に活かされていることがわかった。今後は多言語化や画面仕様の改修によりサイトのユーザビリティを高め、さらに多くのユーザー獲得を目指していきたい。
著者
渋谷 実希 Miki SHIBUYA
出版者
国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.9, pp.109-120, 2013

本稿は、国際交流基金バンコク日本文化センターが2010年1月より2012年4月にかけて行ったJF日本語教育スタンダード導入施行の変遷とともに、具体的な作業の流れと作成物の内容を報告するものである。導入にあたり我々は、JF日本語教育スタンダードを、タイの中等教育機関の日本語教育の現場で問題となっている課題解決のために利用するという基本方針を立てた。そして、『あきこと友だち』という既存の教科書を使っての口頭コミュニケーション能力育成を目標に掲げた。その実現のため、Can-doでの目標設定、目標を達成するためのクラス活動、できたかどうかの評価という一連の流れにJF日本語教育スタンダードを取り入れた、教師のための参考書を作成した。また完成後は、タイ全国6か所で、これをどのように活用していくかの実践的な研修会を行った。現場に直接役立つ、教育支援のためのJFスタンダードの活用法として報告したい。
著者
松浦 依子 宮崎 玲子 福島 青史 Yoriko MATSUURA Reiko MIYAZAKI Seiji FUKUSHIMA
出版者
国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.8, pp.87-101, 2012

本稿ではハンガリーにおける日本語教育教科書『できる』の開発を例に、日本語教育における異文化間コミュニケーション能力の育成の方法とその教材化について一例を示す。ハンガリーの言語教育は欧州評議会の政策に影響を受けており、言語能力のみならず文化的な能力の育成も重要視されている。『できる』においては、Byram、Lázár といった欧州評議会の活動に参加している教育者のモデルを参照し、五つの異文化間能力の定義付けを行い、段階的に教育を行う方法をとった。実際の教材化に当たっては、異文化間能力養成を異なった機能を持つ教科書のコーナーに分散させることで、異文化間能力が静態的な知識に終わることなく、創造的で動態的な性格を持つように複合的なデザインを行った。しかし、異文化間コミュニケーション能力は言語使用者の行動として発現するため、教材の使い方についてより多くの注意が必要である。
著者
武田 素子 千葉 朋美
出版者
国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 = The Japan Foundation Japanese-Language Education Bulletin (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.15, pp.39-54, 2019-03

国際交流基金が運営している日本語学習のためのプラットフォーム「JFにほんごeラーニングみなと」では、日本のことばと文化を総合的に学ぶ「まるごと日本語オンラインコース」を開講している。本稿では、初年度はA1のみであった「まるごと日本語オンラインコース」にA2のコースを追加するにあたり、ユーザーがいつでもオンライン上で気軽に受けることができ、自身の日本語能力にあったコースを選ぶための目安となるよう開発した「おすすめコース診断テスト」の開発過程について述べる。本テストは「もじとことば」「かいわとぶんぽう」「ちょうかい」「どっかい」の4セクションで構成され、問題はCEFRを参照し、各コースで扱われているCan-doから出題するのに相応しいものを選定しながら作成した。本テストの受験者7307名のデータを分析した結果、高い信頼性が得られ、ユーザーにとってコース選びの一助となり得ることがうかがえた。
著者
熊野 七絵/石井 容子/亀井 元子/田中 哲哉/岩澤 和宏/栗原 幸則 石井 容子 亀井 元子
出版者
独立行政法人国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.1, pp.175-188, 2005-03-15
被引用文献数
1

国際交流基金関西国際センターで実施されている外交官・公務員日本語研修では、職務に寄与する口頭運用能力の習得に重点が置かれており、その評価のため外交官・公務員研修独自のオーラルテスト開発が進められてきた。本稿では、評価の妥当性を検証すべく行った平成14年度の最終オーラルテストの分析結果から、初級レベルの外交官・公務員日本語研修で目指すべき日本語運用能力や評価のあり方について考察する。分析の結果、初級レベルであっても、基本的な文型に専門性の高い語彙を入れ込み、結束性ある段落を構成することで、ある程度まとまった専門的な内容を伝えられること、会話の開始や展開のキーとなる表現の使用が職務上の場面に対応するために重要な要素であることがわかった。あわせてこの分析結果をもとに行った評価基準改訂について報告する。
著者
片桐 準二 ドルゴル スレン オユンゲレル ダワー 中西 令子 浮田 久美子 牧 久美子 Junji KATAGIRI DOLGOR Suren OYUNGEREL Davaa Reiko NAKANISHI Kumiko UKITA Kumiko MAKI
出版者
国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.12, pp.57-72, 2016

モンゴルでは初中等段階の日本語学習者が全体の約7割を占めるに至っているが、初中等教育全体で統一したシラバスや教材がない。そこでモンゴル日本語教師会は「初中等教育機関向け日本語教科書作成プロジェクト」を実施し、モンゴル日本語教育スタンダードと共に教科書シリーズ『にほんご できるモン』を開発することとした。同スタンダードの理念は(1)社会の中で自分の考えを自由に表現し、相互理解するのに必要な外国語能力の育成、(2)子供たちが自分自身の力で学習を進めていく能力の育成であり、教科書にはプロフィシェンシー重視と自律学習支援の2つの特徴がある。新教科書を使用する教師とのやり取りから教科書が改善でき、学習者自身も話す能力の向上を感じているという報告を聞くが、一方で、教師には「書くことが学習である」という従来からのビリーフがあり、教科書が変わっても新しい教え方にならない等の課題が残っている。
著者
上野 一彦 大隅 敦子 Kazuhiko Ueno Atsuko Oosumi
出版者
国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 = The Japan Foundation Japanese-Language Education Bulletin (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.4, pp.157-167, 2008-03-17

日本語能力試験は1994年度より障害を持つ受験者に対する特別措置を開始し、2006年度は95名がこの措置を利用している。中でもLD(学習障害)等と分類される学習障害や注意欠陥・多動障害、高機能自閉症に関する措置については、原則を立てつつ試行を重ねている段階である。 一方坂根(2000)によれば、既に日本語教育の現場でもLD(学習障害)等に相当する障害を持つ学習者を受け入れており、教師は「LD学習者の対応は、学習目標、LDの程度や症状の問題など、多くの要因が複雑にからみあうため、一律の対応をするのがよいのか」と懸念しているという。 本稿ではLD(学習障害)等の中核をなすと言われる発達性ディスレクシアに焦点を当て、専門家と実施主体が連携しながら、WAIS-Ⅲをはじめとする認知・記憶特性を理解し、特性に基づいた過去の措置を踏まえて特別措置審査を行っているさまを、実際の事例とともに紹介する。
著者
来嶋 洋美 柴原 智代 八田 直美 Hiromi KIJIMA Tomoyo SHIBAHARA Naomi HATTA
出版者
国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.8, pp.103-117, 2012

国際交流基金ではJF日本語教育スタンダードを教育現場でどう適用するか具現化すると同時に、海外拠点における日本語講座での使用のために、準拠教科書の開発に取り組んでいる。新しい教科書は相互理解のための日本語教育を実践するために、日本語だけでなく異文化理解の学びを取り入れる。学習対象は海外の成人学習者である。JFスタンダードに準拠するために、レベル設定、Can-doによる学習目標、トピック、異文化理解の学習、ポートフォリオを取り入れ、2011年5月には『まるごと-日本のことばと文化- 入門A1』試用版を刊行した。コミュニケーション言語活動中心の「活動編」と、言語能力(語彙、文型など)を中心にした「理解編」、そしてトピック別語彙集で構成される。活動編と理解編は各々主教材として開発したが、トピック構成が共通で、相互補完的にも使用できる。本稿ではその開発の枠組みと内容・構成について報告する。
著者
荒川 友幸 和栗 夏海 Tomoyuki ARAKAWA Natsumi WAGURI
出版者
国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.3, pp.123-133, 2007

カザフスタンは、日本の文化的プレゼンスが希薄で、日本語の実際的需要が希少な状況ある。日本センターの初級クラスでは、日本事情・文化紹介を授業中に行うことも重視しているため、日本語の語学学習時間数が限られてくる。そこで、『みんなの日本語』の各文法項目を重要度・難易度・使用可能性を勘案して、授業中に扱う比重を変えた。例えば、14課はテ形が最重要項目であるので、練習Aの「2.左へまがってください」は授業中に定着、使用できるところまで練習するが、「4.てつだいましょうか」は紹介するだけある。海外の現場では、日本国内の学習者向けに開発された教科書が使用されてきた。しかし、学習時間数や期間、そして学習者を取り巻く日本語環境が大きく異なることから、海外の環境に適合した教科書の開発が待たれている。本稿は、その第一歩として位置づけることもできる。