著者
亀井 雄二 岩佐 光啓
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 第58回日本衛生動物学会大会
巻号頁・発行日
pp.52, 2006 (Released:2006-06-07)

欧米では早くから死骸の腐敗分解過程と照らし合わした昆虫遷移の実験データを法医学に応用し、死亡場所や死亡経過時間の推定などに役立てる法医昆虫学(forensic entomology)という分野が確立されているが、日本ではその存在すらほとんど知られていない。そこで日本における法医昆虫学について研究するために、2005年の6月下旬と8月上旬に帯広畜産大学近辺の林に3頭のブタの死骸を置いて、そこに集まる昆虫相およびハエ類の羽化について調べた。その結果、死骸からは主にクロバエ科、イエバエ科、ニクバエ科、ツヤホソバエ科、チーズバエ科、ハヤトビバエ科、ノミバエ科、ミギワバエ科、ミズアブ科、シデムシ科、エンマムシ科、ハネカクシ科、オサムシ科らが採取された。また上記の実験期間中において昆虫遷移の違いはほとんど見られなかったが、集まる昆虫相の種構成には明らかな違いが見られた。今回はそれらの実験結果の詳細に加えて、日本における法医昆虫学の有用性や新たに法医学的に重要であると思われる昆虫についても報告する。