著者
中川 眞知子 杉原 和子 遠藤 英樹 磯貝 理恵子 亀山 裕子 阪本 ゆり 古賀 千律子 矢島 あゆみ 手塚 正
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association/Meeting of Keiji Dermatological Association
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.176-179, 2002 (Released:2010-08-25)
参考文献数
10

45歳, 女性。初診平成10年7月2日。初診の約1カ月前からバセドウ病と診断され, 抗甲状腺剤内服治療を受けた。治療開始約1カ月前後より両下腿伸側下半分の痒みを伴った腫脹を自覚し, 次第に同部が隆起し硬くなってきたため当科紹介受診となった。初診時, 両下腿伸側に小指頭大から母指頭大までの境界不明瞭な扁平隆起した紅斑局面を認める。一部に毛孔の開大を認め, 表面は粗糖, 弾性硬で圧痕を残さない。病理組織学的所見では, 真皮網状層上層から中層にかけて粘液様物質の沈着を認め更に血管周囲に軽度の炎症細胞の浸潤を認めた。真皮膠原線維間は, alcianblue染色にて淡青色に染色され, mucicarmine染色では赤色に染色された。以上よりバセドウ病に随伴した脛骨前粘液水腫と診断した。治療は, 副腎皮質ホルモン含有軟膏の外用とステロイド局所注射を行い腫脹の軽快を認めた。完全消失はバセドウ病の軽快に伴って認められた。