著者
鈴木 崇久 津谷 康大 南 一仁 宮原 栄治 亀田 彰 野宗 義博
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
pp.855-857, 2007-07-01

47歳男。患者は30分間で大粒のイチゴを約50個早食した後、下腹部不快感を覚えて受診となった。ニボーは認められず、腸炎との診断で内服処方されて帰宅した。しかし、その後、悪心をはじめ嘔吐、腹痛の増強を認め、翌日入院となった。CTではMeckel憩室は指摘できなかったが、回腸を先端とする小腸壁の肥厚、拡張を認めた。腸閉塞による膵炎併発を考え、薬剤投与を開始した。イレウス管を挿入したが、ドレナージ不良であった。症状改善の兆候がみられず、手術を施行したところ、回腸末端から100cmの部位にMeckel憩室が確認され、その口側腸管に弾力性のある内容物が多数充満していた。更にMeckel憩室が腸間膜の脂肪織と炎症性に癒着し、回腸が若干屈曲していた。処置としてMeckel憩室の先端を切開開放し、ここから腸管内に充満していた半消化のイチゴを取り出し、憩室はリニアカッターで切除した。術後、経過は良好で、7日目に患者は退院となった。