著者
齋藤 亮子 沼澤 さとみ 二口 尚美 太田 優子 長岡 美紀子
出版者
山形県立保健医療大学
雑誌
山形保健医療研究 (ISSN:1343876X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.47-54, 2003-03-01

この研究の目的は、THA(人工股関節全置換術)の予定者が入院以前にクリニカル・パス(診療情報)を入手してから入院までにどのような過程を経て医療に自発的に参画するようになるのか、その過程とそのパターンの種類を明らかにして考察を加えることである。それは情報の提供の仕方と、その後の援助について検討する資料となると考える。対象は本研究に参加の承諾が得られた患者10名である。研究デザインは質的記述的方法を採用した。データ收集は半構成式質問を用いた面接を行い、許可を得て録音し、面接後文字再生してデータとした。分析は継続的比較検討法を用いた。その結果患者はパスを受け取ると1.パスを見る・読む、2.驚き戸惑う、3.情報の確認、4.医療者を信頼、5.自己像の再構築、6.意思固め、7.取組の表明の7ステップをへて自発的参画にいたっていたが、これらのステップの組み合わせのちがいによって、パターンが3つあった。1)自発性のパターン、2)乗り気パターン、3)気乗りしないパターンがあった。それぞれのパターンに応じた援助が必要であると考えられた。