著者
岡田 玲子 太田 優子 Okada Reiko Ota Yuko
出版者
県立新潟女子短期大学
雑誌
県立新潟女子短期大学研究紀要 (ISSN:02883686)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.111-123, 1990-03

幼児栄養をより的確に把握するために,昭和47年,52年,57年および62年度の都市近郊幼児の,食物・栄養素等摂取状況について検討を加えた。対象児は4~6歳児10~25名で四季の各連続3日間(通年12日間)の食物摂取量を個人別に秤量調査し,食品構成目安量ならびに個人別に算定した栄養所要量と対比して,5~15年間の推移の状況を調べ,以下の結果を得た。(1)摂取食品数は,57年度に30種類に至ったが,他は26~29種類であり,動物性食品数は6~7種類で15年間さしたる変動はなかった。(2)食品摂取状況は,15年の間さしたる変動のみられなかったのは豆類のみで,米・穀類,砂糖・菓子・果実・卵類が有意に減少,緑黄色野菜のみが有意に増加して目安量を超えた。62年度に至って卵・乳類が目安量以下に減じ,その摂取割合は75,82%となった。また,穀類のそれは82.2→59.2%に減じた。(3)栄養素等摂取状況は,15年間に適量摂取域内ではあるものの,エネルギー(摂取割合117-102%)と鉄(同108-94%)が有意に減少,ビタミンAのみが有意に増加した。また,ビタミンDの摂取割合は59-17%へ有意に減少した。(4)摂取エネルギー比については,穀類(40→35%)・糖質(59→53→51→54%)エネルギー比は漸減,脂肪エネルギー比(28→32→34→31%)漸増後減少,タンパク質エネルギー比は漸増して横ばいで推移した。(5)動物性タンパク質比は漸増後減少して54.1%になり,摂取エネルギー1,000kcal当りコレステロール・食塩摂取量はやや漸増,P/Sは漸減,Keyの食事因子φ量,Na/K,およびP/Caは漸増傾向をそれぞれ示した。(6)対象児の体位は体位推計基準値に比し,身長(99~110%),体重(94~101%)共に適正範囲にあり,体力評価は中位の成績であった。(7)対象児の平均1日当り歩行歩数は11,011±2,061歩であった。
著者
佐藤 恵美子 松田 トミ子 山田 チヨ 渡邊 智子 山口 智子 伊藤 知子 伊藤 直子 太田 優子 小谷 スミ子 立山 千草 玉木 有子 長谷川 千賀子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】『次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理』のガイドラインに準じた聴き取り調査結果から、昭和35~45年頃までに定着した新潟県のおやつについて報告する。<br />【方法】村上、新潟、長岡、柏崎、魚沼、上越、佐渡の7地域のおやつについて検討した。<br />【結果】新潟県は米を中心とした主食の豊かな食文化があり、うるち米、もち米、くず米、米粉を使ったものが多く、おやつにも主食と類似した文化がみられた。うるち米を使ったものには、おにぎりに生姜味噌をつけて焼いた「けんさん焼き」(魚沼)、米を二度炊きにしてから搗いた「にたて餅」(村上)があった。もち米を使った「餅」はきな粉や砂糖醤油をつけて頂き、「あんこ雑煮(おしるこ)」や「あられ」・「かたもち」(新潟)にして食された。米麹から作る「甘酒」(新潟)、灰汁に漬けたもち米を笹の葉で巻いた「灰汁笹巻」(村上)も特徴的である。もち米や米粉を使ったものには、新潟県の特産品として親しまれている「笹団子」(新潟・県全域)があり、中に餡を入れたものだけでなく、ひじきやあらめの煮物を入れたものも食された。新潟県のおやつには笹の葉を用いたものが特徴的であり、笹団子の他に「三角粽」(柏崎・県全域)や「笹餅」(魚沼)などがあり、地域により笹の用い方に違いがみられた。くず米の利用として、あんや大根菜を入れた「あんぼ」(魚沼)、「おやき」(柏崎)、「みょうが団子」(上越)などがある。佐渡では米粉を使ったものとして、雛祭りには「おこしがた」、釈迦祭りには「やせうま」、ケの日には「とびつき」が食べられていた。その他のおやつに含まれるものに「バタバタ茶」(上越)があり、糸魚川市で泡立てた番茶をいただく風習があった。
著者
齋藤 亮子 沼澤 さとみ 二口 尚美 太田 優子 長岡 美紀子
出版者
山形県立保健医療大学
雑誌
山形保健医療研究 (ISSN:1343876X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.47-54, 2003-03-01

この研究の目的は、THA(人工股関節全置換術)の予定者が入院以前にクリニカル・パス(診療情報)を入手してから入院までにどのような過程を経て医療に自発的に参画するようになるのか、その過程とそのパターンの種類を明らかにして考察を加えることである。それは情報の提供の仕方と、その後の援助について検討する資料となると考える。対象は本研究に参加の承諾が得られた患者10名である。研究デザインは質的記述的方法を採用した。データ收集は半構成式質問を用いた面接を行い、許可を得て録音し、面接後文字再生してデータとした。分析は継続的比較検討法を用いた。その結果患者はパスを受け取ると1.パスを見る・読む、2.驚き戸惑う、3.情報の確認、4.医療者を信頼、5.自己像の再構築、6.意思固め、7.取組の表明の7ステップをへて自発的参画にいたっていたが、これらのステップの組み合わせのちがいによって、パターンが3つあった。1)自発性のパターン、2)乗り気パターン、3)気乗りしないパターンがあった。それぞれのパターンに応じた援助が必要であると考えられた。
著者
岡田 玲子 太田 優子 宮西 邦夫 豊嶋 英明
出版者
県立新潟女子短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究は、青年期女子を対象に保健行動の変容をめざして、指導型・学習参加型を含む健康教育システムを設定し,その有用性を1年間の介入効果によって検証したものである。本システムは、健康教育セミナー(受講後に感想・自己評価記録の提出)(6回)、健康・生活習慣・食事の診断(3回)、診断成績の個人別記録;「Health Paassport」の懇切な説明による還付(4回)等によって構成された。その成績は以下のように要約される。1)BMI、肥満度、体脂肪率への影響は殆どなく、歩数、消費エネルギー、運動量は僅かながら低下した。2)TC、LDL-C、TCが介入前に比べて高かったものの、同時にHDL-Cも有意に上昇し、その程度は寧ろ前3項目の変化に比べて大きいことが認められ、特にHDL-Cの改善には効果的であった。また、Lp(a)はHDL-Cの増加に伴って高くなる可能性が示唆された。なお、HDL-C値の改善にはカロリーカウンターによる運動量の影響は認められなかった。3)自覚症状訴え数が有意に減少した。このことは本セミナー出席率の高い群において特に顕著に観察された。自覚症状改善度上位者からは、健康教育による食行動の改善とその維持を窺わせる応答が得られた。4)食事の評価においては、(1)緑黄色野菜の摂取頻度・充足率の有意な増加、(2)本セミナー出席率の高い群ならびにHDL-C改善度の高い群において、食事診断得点の改善度が有意に大きかった。(3)介入後に穀類エネルギー比の有意な増加、動物牲脂質比、Na/K比、食塩摂取量(g/l,000kcal)、飽和、一価・多価不飽和脂肪酸摂取量の有意な減少がみられたが、これらの変化量との血清脂質値の変化量との相関性を見いだせなかった。(4)LDL-C低下の大きかった群ほど近代型食事(豊川の食物消費の二次元空間図による)の傾向が弱まる方向への変化が有意に認められた。5)エゴグラムにおいては、保健行動の変容に自我状態の関与を示唆する所見が得られた。以上より、本健康教育システムは健康意識の啓発の動機づけやその維持に効果的であったと考えられる。今回は多様な要因の中で、より望ましい方法を模索した研究デザインであったが、健康教育セミナーへの継続的参加を促すためには、対象者の生活時間の変化を配慮した開催日時の調整、保健行動の変容にマイナスの自我状態を有する対象者への対応等についてさらに詳細な検討を重ねる必要がある。本研究により得られた知見と反省を活かして、より実践可能な健康教育システムの開発に今後とも努力したい。