著者
二宮 康史
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
ラテンアメリカ・レポート (ISSN:09103317)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.13-23, 2019 (Released:2019-07-31)
参考文献数
11

ボルソナロ政権は経済自由主義を掲げ、市場の役割を重視したいわゆる「小さな政府」への政策転換を表明し、2019年1月に誕生した。ブラジルでは2003年~16年半ばまでの約14年間、政府の役割を重視し「大きな政府」を志向した労働者党(PT)政権が続き、その後、大統領の弾劾により副大統領から昇格したテメル政権へと引き継がれた。大きく政策転換したかの印象を受けるボルソナロ政権だが、選挙戦の公約や発足後4カ月間の経済政策の中身を検証すると、その多くはテメル前政権を踏襲していることがわかる。どこまで市場の役割に委ね、政府の役割を減ずるかは、90年代の自由化でも試みられた歴史的テーマでもあり、ボルソナロ政権が今後どこまでその問題に切り込めるか注目される。