著者
葛目 大輔 井上 湧介 森本 優子 吉田 剛 山﨑 正博 細見 直永
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.641-643, 2022 (Released:2022-08-27)
参考文献数
7
被引用文献数
2

【症例】56歳男性【主訴】両下肢脱力【現病歴】鶏肉を好む偏食あり.前医で両下腿浮腫を認め,心不全にて入院した.心不全に対し利尿薬による加療が行われたが両下肢脱力が出現し徐々に悪化したため,当院に転院した.【入院時現症】軽度の意識障害と両下肢の浮腫,筋力低下及び腱反射消失を認めた.【入院経過】脚気ニューロパチーを考えチアミン100 mg/日を開始した.これにより神経症状は改善した.その後,ビタミンB1 12 ng/ml(正常値24~66)と低値である事が判明した.【結論】心不全加療中に筋力低下を認めた際には脚気ニューロパチーの合併を考慮し,ビタミンB1補充に留意する必要がある.