著者
井上 綾野
出版者
目白大学
雑誌
目白大学経営学研究 (ISSN:13485776)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.63-74, 2007-03

本稿は,消費者情報処理モデルに代表される功利的買物行動と対極にある快楽的買物行動の基本的視座を快楽消費との関連で提示する理論的研究と,特定の店舗における快楽的買物動機と支出行動の関連を示す実証的研究から成り立っている。快楽的買物行動は,「快楽消費」から派生した概念でありながら,快楽消費と同一のものとは言い難い。また,功利的買物行動との関連で快楽的買物行動の理論的枠組みを提示する必要がある。さらに,快楽的買物行動の本質に迫るために,どのような楽しさを追求しているのかを知る必要がある。そのために必要とされるのが,買物動機研究の系譜を辿ることである。次に,理論的研究に基づいて実証的研究を行う。その手順は以下のとおりである。第一に,快楽的買物行動における快楽的買物動機を因子分析によって確認する。第二に,店舗別(駅前商店街・コンビニエンスストア・スーパーマーケット・百貨店)にデータを分割し,各店舗における快楽的買物動機とその店舗における支出金額との関係性を,共分散構造分析によって検証する。最後に,その結果に基づいて各店舗における戦略を提案する。