著者
井原 義尚
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.216-224, 1994-03-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
21

慢性気管支炎等の慢性閉塞性肺疾患を有する毒ガス傷害者のうち72例について, 胸部X線像, 肺機能検査所見, 喀痰性状を解析し, 病像の経時的変化の検討を行った. 胸部X線所見別にみると, 炎症性変化群に比べ, 気腫性変化群において, また慢性気管支炎の臨床分類別にみると, 単純型, 感染型に比べ, 閉塞型, 感染閉塞型において, FEV1.0は有意に減少した. 次に72例を含め計93例について, 肺野CT所見の検討を行った. 肺野CT%(1-E) 値は, 胸部X線上, 正常群, 炎症性変化群に比し, 気腫性変化群において有意に低下し, FEV1.0, FEV1.0%, V50/V25との間に正の相関を認めた. 従来, 毒ガス傷害による慢性気管支炎の特徴は, 炎症の優位性と病像の多彩さにあるとされてきたが, 今回の結果から, 長期生存例における増悪群の特徴は, 気腫性変化に伴う閉塞性換気障害の進行にあると考えられた.