著者
斎藤 幸雄 柴 光年 山川 久美 馬場 雅行 木村 秀樹 藤沢 武彦 山口 豊 大和田 英美
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.95-100, 1991-01-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
12
被引用文献数
2

症例は60歳男性, 主訴は乾性咳嗽, 胸部X線写真にて右上肺野に腫瘤影が認められ, 気管支鏡検査で気管浸潤を伴う右S1原発の肺癌と診断された. 化学療法 (CDDP+VDS) 1クール, 続いて放射線療法 (50Gy) が施行されたがいずれの療法も奏効せず腫瘍の増大による気管圧迫のため呼吸困難が出現し, また上肢および体幹部に皮膚転移巣が多発した. 救命的にNd-YAGレーザーで気道の開大を行い呼吸困難および全身状態の改善が得られたため, 皮膚転移巣に対してはエタノールの局所注入あるいは摘出を行い退院となった. 外来での経過観察中 (退院時より約2ヵ月間) に残存する全ての皮膚転移巣が消失し, 続いて原発巣も退縮を示した. 現在, 発見から5年経過したが臨床的には腫瘍の再増殖は認められず健在である. 退縮の機転に関しては明らかではないが, 本症例は極めて稀な肺癌の自然退縮例であると考え報告した.
著者
藤村 政樹 野村 将春 坂本 さゆり 上尾 友美恵 柴田 和彦 小川 晴彦 西 耕一 松田 保
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.105-112, 1990-01-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
14

若年健康女性にみられる深吸気の Vmax 増加効果と basal bronchomotor tone の関係にっいて, partial and maximum expiratory flow-volume curve を用いて検討した. 深吸気の Vmax 増加効果は, ipratropium bromide によるPEF25の増加率 (r=-0.81, p<0.0002) および salbutamol によるPEF25の増加率 (r=-0.62, p<0.01) と有意の相関を示した. 深吸気の Vmax 増加効果の日差変動は, PEF25の日差変動と有意 (r=0.68,p<0.005) に相関したが, MEF25の日差変動とは相関しなかった. 以上より, 若年健康女性における深吸気の Vmax 増加効果は, 迷走神経緊張による basal bronchomotor tone が亢進しているためにみられる現象と考えた.
著者
榊原 博樹 廣瀬 邦彦 松下 兼弘 中村 慎吾 佐藤 元彦 加古 恵子 末次 勸
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.395-402, 1995-04-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
20

気管支喘息患者10名にエイコサペンタエン酸エチルエステル (EPA-E) 製剤 (MND-21) を1日2.7g, 12週間投与した. この間, 喘息症状, 血清の脂肪酸濃度, および calcium ionophore A23187で刺激された白血球のロイコトリエン (LT) 産生能を測定した. コントロールとして, EPA-Eを内服していない39名の気管支喘息患者から得られた白血球を使用した. LT産生量は逆相高速液体クロマトグラフィーにより測定した. EPA-Eの内服で血清中のEPA濃度は3.3倍に増加した. EPA-E内服4週間後の白血球のLTC4およびLTB4産生量 (それぞれ53.5±23.3ng/107cellsと24.9±12.4ng/ao7cells) はコントロール (それぞれ124.4±91.6ng/107cellsと58.3±34.8ng/107cells) と比べて有意に減少した. 4週間のEPA-E内服で有意なLTC5, およびLTB5の産生が認められたが僅かであった (それぞれ6.5±1.9ng/107cellsと4.6±2.7ng/107cells). 臨床症状の改善はEPA-E投与2ヵ月後に認められたが, その効果は一時的であった.
著者
藤村 政樹 野村 将春 坂本 さゆり 上尾 友美恵 柴田 和彦 小川 晴彦 西 耕一 松田 保
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.105-112, 1990

若年健康女性にみられる深吸気の Vmax 増加効果と basal bronchomotor tone の関係にっいて, partial and maximum expiratory flow-volume curve を用いて検討した. 深吸気の Vmax 増加効果は, ipratropium bromide によるPEF<sub>25</sub>の増加率 (r=-0.81, p<0.0002) および salbutamol によるPEF<sub>25</sub>の増加率 (r=-0.62, p<0.01) と有意の相関を示した. 深吸気の Vmax 増加効果の日差変動は, PEF<sub>25</sub>の日差変動と有意 (r=0.68,p<0.005) に相関したが, MEF<sub>25</sub>の日差変動とは相関しなかった. 以上より, 若年健康女性における深吸気の Vmax 増加効果は, 迷走神経緊張による basal bronchomotor tone が亢進しているためにみられる現象と考えた.
著者
山田 峰彦 柿崎 藤泰 渋谷 まさと 中山 秀章 廿楽 裕 田中 一正 鈴木 一 本間 生夫
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.646-652, 1996-06-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
20
被引用文献数
1

呼吸筋ストレッチ体操 (RMSG) プログラムを作成し, 肺機能, 運動能力, 呼吸困難感, 生活の質 (QOL) に与える効果について4週間のトレーニングの前後で検討した. 13名の慢性閉塞性肺疾患患者 (平均FEV1: 1.24L) を対象とし, 4週間にわたりRMSGを1日3回実施した. 12名が検討終了した. FRC (前4.19±1.27, 後3.88±1.03L), TLC (前5.98±1.35, 後5.66±1.20L), RV (前3.29±1.16, 後2.89±0.89L), 残気率 (前53.9±11.2, 後50.6±9.74%) はそれぞれ有意 (p<0.01) に低下した. 6分間歩行距離 (6MD) は平均43±30m (+15%, p<0.01) 延長した. 6MD終了時の呼吸困難感 (150mm VAS) は (前65.1±40.8, 後36.1±36.8mm) と有意 (p<0.05) に低下した. QOLは Guyatt らの The Chronic Respiratory Disease Questionnaire により評価し, 有意な改善が認められた. RMSGは呼吸リハビリテーションとして有用性があると考えられた.
著者
久保 恵嗣 小林 俊夫 福島 雅夫 芝本 利重 酒井 秋男 上田 五雨
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.26, no.8, pp.825-832, 1988

肺水腫における熱とインドシアニン・グリーン (ICG) 色素を用いた二重指示薬希釈法による血管外肺水分量測定の有用性を検討するために, 肺リンパ瘻を作製した麻酔下緬羊を用い, 本法による血管外肺水分量 extravascular lung thermal volume (EVLTV) と, 左房圧上昇 (IP, n=5), Escherichia coli エンドトキシン注入 (ETX, n=5) および肺微小空気塞栓 (Air, n=4) 時の肺循環および肺リンパ動態とを比較検討した. また, 肺リンパ液中のICG濃度を測定した. IP群では, 左房圧 (Pla) 10mmHg上昇に伴い肺動脈圧 (Ppa) も上昇し, 肺リンパ流量 (Qlym) は有意に増加した. 肺リンパと血漿との蛋白濃度比 (L/P) は有意に減少した. EVLTVは有意に増加した. ETX 1μg/kg, iv, 投与3~5時間後, Qlym およびL/Pは有意に増加したが, EVLTVは変化なかった. PpaとPlaは変化なかった. Air群では, 肺動脈主幹部に挿入した細いチューブ (内径0.3mm) より1.2ml/minの空気を3時間にわたり注入した. Ppaは空気注入中有意に増加したが, 注入終了後すみやかに前値に復した. Plaは変化なかった. Qlymは空気注入後より増加し, 注入終了後もその増加は持続した. L/Pは注入終了後軽度増加した. EVLTVは空気注入中著明に減少し, 注入終了後有意に増加した. 肺リンパ液中のICG濃度はETX群で著明に増加したが, 他の2群では変化なかった. 以上より, EVLTVはエンドトキシンおよび肺塞栓存在時の肺水腫の存在の可能性を過小評価する. また肺微小空気塞栓による肺血管透過性の機序は, エンドトキシン肺傷害のそれとは異なることを示唆するものと思われる.
著者
大西 隆行 藤田 次郎 池田 和真 泰 ゆうき 山地 康文 塩谷 泰一 高原 二郎 桑原 宏子 佐藤 明 根ヶ山 清 宇多 弘次 入野 昭三
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.365-371, 1991-03-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
20

症例1は70歳男性, 肺小細胞癌に対する化学療法後, 両肺にびまん性斑状陰影が出現. 症例2は49歳男性, 悪性リンパ腫に対する化学療法後, 右肺に巨大結節影が出現. 両例とも抗生物質投与にかかわらず陰影は増悪し, 呼吸不全にて死亡した. 剖検材料より得られた浸出液の培養にて Trichosporon beigelii が検出された. Trichosporon beigelii による呼吸器感染症は本邦では稀と考えられたのでここに報告する.
著者
鈴木 幹三 岸本 明比古 山本 俊幸 足立 暁 山本 和英 白井 智之
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.24, no.10, pp.1078-1082, 1986-10-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
18

剖検で確認した高齢者肺炎102例を臨床病理学的に検討した. 60歳以上の剖検180例中102例 (57%) に肺炎が認められ, このうち53例 (52%) は肺炎が直接死因となった. 基礎疾患は脳血管障害後遺症, 心疾患が大半を占めた. 病理学的な肺炎病巣の拡がりは肺炎死因率と正の相関を示した. 肺炎は両下葉および右上葉に好発し, 病理学的に炎症病変は巣状分布を示す例が最も多く, これらのなかに沈降性肺炎, 嚥下性肺炎の関与する例がみられた. 大葉性肺炎, 嚥下性肺炎, 肺化膿症は直接死因となる頻度が高く, 肺うっ血水腫は49%にみられた. 病変発現部位では, 肺胞性肺炎が70%を占め, 混合型肺炎は10%であった.
著者
桶谷 典弘 斉藤 博之 江部 達夫
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.9, pp.983-988, 1996-09-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
20
被引用文献数
1

半夏瀉心湯による薬剤性肺臓炎の1例を報告した. 症例は72歳の女性で, 口内炎の治療のため半夏瀉心湯と白虎加人参湯を内服したところ, 8ヵ月後に労作時息切れと胸部X線写真上びまん性の斑状影が出現し, 間質性肺炎の疑いで入院した. 薬剤性肺臓炎を疑い, 内服薬を中止したところ, 臨床症状, 胸部X線写真の改善を認めた. 気管支肺胞洗浄の検査では, リンパ球の増加とCD4/CD8比の低下を認め, 肺生検の組織像では, 細気管支周辺および肺胞壁に, リンパ球を主とする細胞浸潤を認めた. 白血球遊走阻止試験では, 半夏瀉心湯に対し陽性を示し, 半夏瀉心湯による薬剤性肺臓炎と思われた. 当薬剤による薬剤性間質性肺炎の報告は, 本邦で第1例目と思われる.
著者
手丸 理恵 山下 直宏 松井 祥子 大田 亨 川崎 聡 小林 正
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.485-490, 1994-05-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
11

柴朴湯による薬剤性肺臓炎の1症例を報告した. 症例は60歳の女性で, 平成4年10月12日外来にて柴朴湯を投与され一包内服したところ, 約2時間後に悪寒, 呼吸困難が出現したため, 翌10月13日外来を受診, 著明な低酸素血症と胸部X線写真上両肺野にすりガラス様陰影を認めたため, 急性間質性肺炎を疑い, ステロイドパルス療法を施行し軽快した. その後, 成分が柴朴湯と近似した煎じ薬を3日間服用したところ, 再び発熱・呼吸困難が出現し, 胸部X線写真上も両肺野にすりガラス様陰影を認めた. 再びステロイドパルス療法を施行し軽快した. 薬剤によるリンパ球刺激試験および皮膚貼布試験では, 柴朴湯に対して陽性を示し, 経過とあわせ, 柴朴湯による薬剤性肺臓炎と診断した.
著者
石原 陽子 北村 諭 千治松 洋一 本間 日臣
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.22, no.12, pp.1122-1126, 1984-12-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
6

健康成人29名に喫煙負荷実験を行った所, 1日当りの喫煙量と血中6-keto PGF1α, TxB2, 過酸化脂質量との間には相関はなかった. 喫煙者群では19例中11例で喫煙負荷後に過酸化脂質が増加する傾向を示したが非喫煙者群では一定傾向を示さなかった. また血漿中6-keto PGF1α値は, 非喫煙者群では1例を除く全例で喫煙負荷後上昇したが, 喫煙者群では一定傾向を示さなかった. 血漿TxB2値は, 非喫煙者群では喫煙負荷後に全例が上昇を示した. 一方, 喫煙者群のうち“shallow”群では喫煙負荷により9例中8例でTxB2値の上昇を認めたが,“deep”群では逆に低下した. 喫煙負荷前の血漿TxB2値は, 非喫煙者群に比し“deep”群で有意に高値を示した. 以上の実験成績より, 喫煙の急性効果として, 血中TxB2, 6-keto PGF1α, 過酸化脂質などの液性因子の変動が起ることが解明された.
著者
青木 隆幸 津田 富康 鬼塚 徹 水城 まさみ 吉松 哲之 岡嶋 透 葉玉 哲生 調 亟治
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.21, no.8, pp.770-774, 1983-08-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
10

31歳男. 中国のポーロンリ (7,292m) にアタック中, 高山病を発症. 下山途中 (5,300m), 痙攣ののち四肢麻痺が出現. 下山後 (700m) 左胸痛, 咳嗽, 血痰が出現. 当科入院後左下葉切除を行い, 背側下部の融解壊死, 組織学的には, 無気肺, 肺胞内出血, うっ血, 小肺動脈の血栓形成, 多数の梗塞巣を認めた. 頭部CT写真で両側頭頂部に梗塞巣を認めた.
著者
本村 文宏 棟方 充 土肥 勇 南須原 康行 川上 義和
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.455-460, 1997-04-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
12

症例は48歳の男性. ウサギ飼育6ヵ月後に気管支喘息を発症し, 症状が改善せず, 胸部X線写真にて浸潤影も出現したため, 精査のため入院となった. 末梢血好酸球は軽度増加していた. 入院時には陰影は消失していたが, ウサギ毛のスクラッチ抗原による吸入誘発試験で二相性喘息反応とともに胸部CTに浸潤影が出現し, 同部位からの気管支肺胞洗浄と経気管支肺生検で好酸球浸潤を認めたためウサギ毛によるPIE症候群 (pulmonary infiltration with eosinophilia) と診断確定し, ウサギ飼育の中止, 環境の改善およびステロイド薬により4年来再発をみていない.
著者
北原 多喜
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.166-172, 1979-02-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
11

A case of acute chlorine poisoning was reported. A 60 year-old engineer was exposed to chlorine gas when working with hydrochloric acid. On admission, his chest film revealed marked pulmonary edema and arterial gas examination showed hypoxemia. Immediately, he received oxygen inhalation and intravenous injection of a large dosage of hydrocortisone (Sorcortef 5g). On the seventh day of hospitalization, his condition improved as did radiologic findings. On the thirteenth day of hospitalization, transbronchial lung biopsy of the right lower bronchus showed peribronchial thickening and alveolar capillary dilatation. One month after exposure, symptoms of diffuse panbronchiolitis were recognized but they regressed by steroid treatment. Thereafter, chest film and pulmonary function returned to normal.It was suggested that large dose steroid treatment at an early stage would be effective to manage diffuse panbronchiolitis and pulmonary edema due to acute chlorine poisoning.
著者
金森 一紀 魚谷 浩平 高倉 文嗣 西岡 真二 越野 健 藤村 政樹 中積 泰人 岡藤 和博 松田 保 上尾 友美恵 柴山 正美 川井 清
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.24, no.9, pp.970-976, 1986-09-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
24

健常者および非発作期の気管支喘息患者を対象に深吸気の影響を検討した. Maximum expiratory flow-volume curve のV25をMEF25, これと同一肺気量における partial expiratory flow-volume curve のVをPEF25とし, Deep Inspimtion (DI) Index=(PEF25-MEF25)/PEF25を求めた. 健常者では若年者の DI Index は負となり深呼吸による気道拡張効果が認められたが, この効果は加齢とともに減弱し, 50歳以上では DI Index は正の値になった. 抗コリン剤吸入後には DI Index は有意に増加して正の値となり年齢差は認められなくなったことから, 若年者では迷走神経の緊張が強く気道の resting tone が収縮性に保たれていることが推測された. 気管支喘息のうち40歳未満で%FEV1.0≧70%の患者では DI Index は負となり, 抗コリン剤吸入後には有意に増加して年の値となったことから, 気管支喘息でも深呼吸の気道拡張効果は存在し迷走神経が関与していると考えられた.
著者
清水 孝一 塩田 智美 仲谷 善彰 坂本 匡一 岩瀬 彰彦 青木 茂行 松岡 緑郎 永山 剛久 河端 美則
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.1099-1103, 1997-10-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
5
被引用文献数
1

26歳女性が感冒様症状に対して投薬された薬剤を内服後約1日の経過で呼吸困難を呈して来院した. 入院時の胸部レントゲン写真では両側上肺野を中心とした不規則な浸潤影を認め, 胸部CT写真でも汎小葉性の肺野濃度の上昇を認めた. BALより総細胞数の増加, 好酸球分画の著増を認めTBLBで胞隔の肥厚と間質への好酸球の浸潤が見られた. 前医で投与されたバッファリン®に対するリンパ球芽球化反応試験が陽性であったために本剤の投与が関与する薬剤誘起性肺障害と考えた. 薬剤の中止により自覚症状, 血液ガス所見, 胸部レントゲン写真は速やかに改善し, その経過は急性好酸球性肺炎様であった. 治療に際してステロイド剤の投与は不要であった.
著者
小野 貞文 小池 加保児 谷田 達男 久保 裕司 芦野 有悟 千田 雅之 鈴木 聡 磯上 勝彦 那須 元一 斎藤 秀行 相良 勇三 佐久間 勉 仲田 祐
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.27, no.8, pp.910-916, 1989-08-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
19

ヒトの肺循環系に於ける血小板活性化因子 (PAF) の果たす役割, 及び, その作用の発現に於ける血管内皮, cyclooxygenase 系の関与を明らかとすることを目的とし, 摘出ヒト肺動脈を用いて検討した. 内皮傷害の肺動脈では, 10-6MのPAFにて, 緩徐で弱い収縮作用が認められた例があったが, 他の肺動脈では, 内皮非傷害, 内皮傷害のもの共に収縮あるいは弛緩は認められなかった. 10-7MのPAF前投与により, 肺血管収縮物質である Histamine, Prostaglandin F2αの収縮は抑制された. この抑制作用は内皮依存性であり, cyclooxygenase 系は関与しなかった. ヒトにおいて, PAFは, 内皮細胞由来の血管弛緩物質 (EDRF) を介して作用を発現する可能性が示唆された.
著者
塩田 雄太郎 森 由弘 青山 重男 原田 淳一 瀬崎 達雄 長田 高寿 高橋 清 木村 郁郎
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.289-293, 1988-03-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
15

消化器並びに呼吸器症状を呈する19歳白人の膵嚢胞性線維症の1症例を報告する. 患者は生来健康であったが, 19歳より咳嗽, 喀痰, 下痢を繰返すようになった. なお患者の兄はすでに膵嚢胞性線維症と診断されている. 胸部X線写真ではびまん性の小結節状陰影があり, 両側肺野に気管支の走向に一致した線状陰影が認められた. 肺機能検査では軽度の閉塞性換気障害が認められた. 膵外分泌機能の低下があり, 腹部のCTでは膵の萎縮が認められた. 汗のナトリウム, クロールは高値を示した. また成人の膵嚢胞性線維症に多い合併症とされる鼻ポリープ, 耐糖能の低下も認められた. 本邦では本症の報告は少なく, また成人になって症状が出現するのは稀とされているが, 本症例においては全体に症状が軽いためにこのような経過をとった可能性が考えられた.
著者
金田 正徳 竹内 義広 坂井 隆 並河 尚二 湯浅 浩 草川 實
出版者
社団法人 日本呼吸器学会
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.468-473, 1984

Cases of primary lung cancer often have other pulmonary diseases involving the loss of pulmonary function. If a complicating disease is more pronounced in the noncancerous lung, unexpected postoperative respiratory insufficiency may appear. For this reason it is desirous to predict the postoperative lung function preoperatively. In this study the predicted postoperative vital capacity was calculated according to the following formulae from the spirometry data, bronchoscopy, bronchography and lung scintigram using <sup>81m</sup>Kr gas.<br>As for the summation of NNSS, two methods were employed. First was the evaluation of the number of obstructed sub-segmental bronchus by means of bronchoscopy or bronchography. The second method was summation from the count rate of the lung scanning. In younger patients both methods had equal accuracy. However in older patients the latter method had inevitable error, because the assumption for calculating NNSS did not hold in that patient group. We therfore accepted former method for the summation of NNSS.<br>As for the measurement of unilateral vital capacity (or VCc), <sup>81m</sup>Kr lung scintigram which visualizes the actual distribution of ventilation in the lung was useful in comparison with the cumbersome bronchospirometry.<br>To investigate the overall accuracy of our predicting formulae, 16 patients who were alive and cancer free 6 months after surgery were selected. However 5 had to excluded for the study because they had postoperative pulmonary complications which reliably are accompanied by loss of lung function. In the remaining 11 cases the predicted value was within&plusmn;10% deviation of the actually measured value. This accuracy was also acceptable for older patients whose respiratory function was impaired both in cancerous and non-cancerous lung. These formulae were considered to be useful in predicting postoperative lung function and very helpful in deciding surgical indications in cases of severely impaired pulmonary function. However careful management to avoid postoperative lung complications is necessary because the predicted postoperative vital capacity is a final result of the lung function when there are no another function-impairing factor.