著者
三瀬 遼太郎 井原 雄人 森本 章倫
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.652-658, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
25
被引用文献数
1

パリ協定で定められた温室効果ガス削減目標を達成するためには、特に影響が大きい交通環境負荷の低減が不可欠である。そこで、複数の低炭素な次世代交通機関を導入することで、交通環境負荷を削減する試みが注目されている。本研究では、電気自動車(EV)、次世代型路面電車システム(LRT)、自動運転車、電動バスに着目して、交通量、EV普及率、発電構成比の観点から、実際の交通流の想定下で次世代交通が及ぼす環境改善効果を定量的に評価した。その結果、対象地である宇都宮市においてLRTが開通した際に環境負荷を低減するには、10%以上の自動車交通量の削減が必要であることを明らかにした.さらに、宇都宮市を対象に、次世代交通の導入を想定したうえで、公共交通を推進する政策や太陽光発電を推進するエネルギー政策の導入を仮定し、交通環境負荷の将来推計を行った。その結果、現状では公共交通を推進することで大きく環境負荷が低減するが、将来的に自動車のEV化が進み、かつ電力のCO2排出係数が小さくなると、その利点は薄れることを明らかにした。