著者
嶋澤 雅光 井口 勇太 伊藤 保志 原 英彰
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.129, no.6, pp.445-450, 2007 (Released:2007-06-14)
参考文献数
15

現在の主要な失明原因には,緑内障,糖尿病網膜症,加齢黄斑変性症および網膜色素変性症などがある.これらの失明性眼疾患の多くは網膜細胞の変性に起因することから,網膜細胞の変性の原因を調べ,その機序を解明することは,病気の原因を解明し治療法を確立するうえで必須要件である.これまで,これらの病態モデル動物の作製にはラット,ウサギ,サルなどの大動物が多く用いられてきた.一方,マウスを用いた病態モデルの作製については,眼球自体が小さいため手技が難しいことにより今までほとんど検討されてこなかった.しかし,マウスは多くの遺伝子改変動物を利用できることから病態解明には最も有用な動物種である.本稿ではマウスを用いた網膜障害モデルの作製法ならびにその評価法について紹介する.