- 著者
-
中村 和彦
井星 陽一郎
伊原 栄吉
- 出版者
- 一般財団法人 日本消化器病学会
- 雑誌
- 日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
- 巻号頁・発行日
- vol.110, no.11, pp.1889-1899, 2013 (Released:2013-11-05)
- 参考文献数
- 71
炎症性腸疾患(IBD)の発症に腸管での過度のT helper(Th)反応が関与している.Th反応はTh1,Th2,Th17からなり,正常の腸管では免疫反応を制御するregulatory T cellとの間でバランスが保たれている.IBD腸管ではその調節機構が破綻しており,クローン病ではTh1,Th17反応の亢進が,潰瘍性大腸炎ではTh17反応の亢進とIL-13発現上昇がみられる.IBD腸管のTh制御機構破綻のメカニズムを明確にすることは,治療のターゲットを明らかにし,新規治療法開発に重要である.IBDにおけるTh反応制御異常に関して最新の知見を含めて解説する.