著者
中野 哲 熊田 卓 北村 公男 綿引 元 武田 功 井本 正己 小沢 洋
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.1306-1314, 1979-06-05 (Released:2007-12-26)
参考文献数
23
被引用文献数
3

健常者35例,肝硬変症を含む良性消化器疾患79例,肝癌を含む悪性消化器疾患84例の合計198例に,「第一」SPAC ferritin kitを用いて血清ferritinを測定し,その診断的意義を検討した.肝硬変症で43%,肝炎で50%前後,原発性肝癌で74%,転移性肝癌で67%に血清ferritinの異常高値がみられた.肝疾患において血清ferritinとGOT,血清Feとの対比を行つたが肝炎時にGOTと著明な相関がみられた(p<0.01)のみである.原発性肝癌では血清ferritinは,AFPが104ng/ml以上の場合は正の相関(P<0.05)それ以下の場合は負の相関傾向(0.05<P<0.1)がみられた.また巨大な腫瘍では微小な腫瘍より明らかに血清ferritinは高値を示した(P<0.05).一方,肝悪性腫瘍の血清ferritinとCEAは明らかな相関はみられなかつた.