著者
滝口 良 坂本 剛 井潤 裕
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集 (ISSN:21878188)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.173-184, 2017 (Released:2017-08-10)

都市定住のなかで遊牧の住文化が継承されているウランバートルの周辺居住区(ゲル地区)において住居と住民の生活史の調査を実施し,当該地区固有の住文化について検討した。ゲル地区の住文化として(1)ハシャーという居住ユニット,(2)移動式ゲルとセルフビルド住宅,(3)割り込み居住といった要素が明らかになり,家庭環境の変化に応じた家屋の増改築や共同居住,移動を行う柔軟な住文化が浮かび上がった。さらにアンケート調査の結果,上記の住文化の要素がゲル地区の近隣関係や地域改善に向けた住民の意図に影響を与えることが明らかとなり,現行のゲル地区のコミュニティ開発にあたり地域固有の住文化を考慮する必要性が示唆された。