著者
井野 睦美 大富 あき子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 2021年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.99, 2021 (Released:2021-09-07)

【目的】近年オリーブオイルに様々な食材を漬け込んだ商品が見られる。食材を漬けることで変化するオイルの風味を活かして、塩分量が多いと言われる和食へ利用した際の美味しさの増強や減塩効果について検討した。【方法】日本デルモンテ株式会社より提供のエキストラバージンオリーブオイルを使用し、11種の食材を1週間浸漬した。そのうち特徴のある食材3種(小エビ・かつお節・わさび)に厳選し、①常温で豆腐にかけて②加温してフランスパンに含ませて、標準オイルと比較して特徴を評価した。またこれらを和食に使用し、オイル未使用のコントロール料理と比較検討を行った。小エビオイルは味噌汁に加え、同じ塩分濃度の味噌汁と比較した。かつお節オイルは、醤油とオイルの混合液と、醤油のみをほうれん草のお浸しで比較した。わさびオイルは、醤油とオイル1:1混合液と、醤油のみを鯛の刺身で比較した。【結果・考察】小エビオイルは加温により辛みと生臭い香りが抑えられた。かつお節オイルは常温・加温両方で評価が高く、かつお節のうま味や風味が強く感じられた。わさびオイルは嗜好の個人差が大きいが、加温するとわさびの風味が減少することがわかった。小エビオイル入り味噌汁は、コントロールに比べ有意にマイルドであった。かつお節オイルのほうれん草のお浸しはコントロールに比べ有意にコクが強かった。わさびオイルを用いた刺身はコントロールに比べコク、うま味、マイルドさ、美味しさが有意に高かった。この結果から、食材を漬けたオリーブオイルを各種和食料理に使用することで美味しさが増していた。またほうれん草のお浸しと刺身は少ない醤油量で満足が高く、減塩効果も期待できると示唆された。