- 著者
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井門 亮
- 出版者
- 群馬大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2011
関連性理論の最近の研究では、発話解釈と同様に、語解釈の際にも推論がかかわると主張している。つまり、関連性の原理に制約された推論プロセスを通して、聞き手は符号化された語の概念を調整し、解釈を行うと考えるのである。この語用論的プロセスは「アドホック概念構築」と呼ばれ、発話の明示的意味の分析に加え、メタファーなどの修辞的表現の解釈についても、アドホック概念の観点から活発な議論が展開されている。本研究では、本来は語レベルでの解釈を説明するために提案されたアドホック概念が、さらに大きな単位である句レベルでの解釈にも適用できるのか、イディオムを通して検討を行い、さらに今後の検討課題についても言及した。