著者
小長谷 紀子 井門 知里
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.135, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】現代の食生活において食物繊維の摂取量を増加させることは大きな課題である。難消化性デキストリンは健康志向の高まりから多くの食品へ添加が試みられてきた。一方,寒天は食物繊維を豊富に含み,手軽に調理できる伝統的な食物繊維を多く含む食品である。そこで本研究では,難消化性デキストリンを寒天に添加し,通常の寒天ゲルと同様の特性を持つゲルを調製できるかどうかを確認することを目的とした。【方法】寒天に難消化性デキストリンを添加してゲルを作成し,寒天の調理特性におよぼす難消化性デキストリンの影響を評価した。このため難消化性デキストリン(松谷化学工業)を添加した0.6%寒天溶液および牛乳寒天(寒天濃度0.8%)を調製し,光の透過率(380-780nm),離漿率,破断応力を測定し,官能評価を行った。【結果】寒天溶液に難消化性デキストリンを最大で10%添加を試みた。その結果通常と同様の寒天ゲルができることを確認した。また難消化性デキストリンを添加することでより透明な寒天ゲルが生成した。そこで分光光度計で透過率を測定した結果,難消化性デキストリンを5%添加したものは,難消化性デキストリンを加えないものと比べて光の透過率が高く,ショ糖を10%添加したものと同等であった。一方,牛乳寒天においてショ糖(7%)と難消化性デキストリン5%添加したものは,ショ糖のみを含むものに比べ24時間後の離漿率が約70%減少した。すなわち,難消化性デキストリンを寒天に加えると,透明度が高く離漿の少ない寒天ゲルをつくることができる。