著者
前田 義信 今井 博英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.88, no.6, pp.722-729, 2005-06-01
被引用文献数
8

学校におけるいじめ問題は, 「キレる」子どもや「ひきこもる」子どもの問題と同様, 解決すべき重要な課題の一つである. しかし, いじめの定義はあいまいであり, 社会心理学でもいじめを明確に決定づけることが困難であるため, 現場教師による早期発見が難しい. いじめの背景には子どもと子どもの相互作用があり, 特に中学生の年代では価値をめぐる相互作用により交友関係が形成される. しかし, 一元的な管理主義が支配する学校の中では自由に価値を見出すことが難しく, また集団が群集化することがあり, 群集化の影響が価値を共有できない少数の子どもをいじめのターゲットにしてしまう. 本論文では, 群集化する交友集団における, 価値をめぐった交友関係の形成過程をエージェントベースでモデル化する. そして, モデルのパラメータ値を変化させることで, 価値を共有できない少数のエージェントが発生する条件を明らかにした. 提案モデルによると, 管理を弱くしてエージェントに多様な価値を見出すことが許されるようにすることは, 逆に価値を共有できないエージェントの数を増加させる可能性がある. 我々は, その原因がエージェントの相互作用にあることを調べた.