著者
今井 章久 稲積 淳
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.585-596, 2005-10-01
被引用文献数
12

拡声対象音声の抑圧を遅延回路によって低減し, マイクロホン出力に含まれる帰還音成分だけを適応フィルタによって推定, 抑圧する拡声用ハウリング防止装置について, 理論的, 実験的に検討した。誤差信号に拡声対象音が含まれるために適応フィルタのフィルタ係数は最適値の周りで変動するが, 時変でありハウリングの原因とはならない。しかし, この分散によって帰還音のパワーは増大するので, 装置の安定条件は適応アルゴリズムの収束条件よりも厳しい。標本化周波数16kHz, タップ数4,096, 遅延時間14ms, LMSアルゴリズムを用いた装置で, 残響時間0.4sの疑似拡声音場において10dB以上の拡声利得の増大が可能であった。