著者
松浦 一貴 寺坂 祐樹 今岡 慎弥
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.491-495, 2019-04-15

要約 目的:雪視症(visual snow)では,視野全体に雪が降っているような感覚が視野全体に持続する。片頭痛や耳鳴に加え,不安やうつ状態も本症に併発する。Visual snowの診断には,内視現象の強化,反復視,羞明,夜間視の障害が3か月以上持続する必要がある。心因性ストレスが先行するvisual snowの1例を報告する。 症例:25歳男性が受診した。大学卒業後2年間就職が決まらず,3か月前から視界に砂嵐が見え,眼内に残像が出る感覚と羞明が持続している。耳鳴が最近強くなった。片頭痛はない。 症状と経過:眼科と神経学的に異常はない。Wide-range assessment of vision-related essential skillsでは,視覚情報が手を介して出力される目と手の協力は正常であり,図形を認知する視知覚に著しい低下があった。羞明と夜間視の障害の併発があった。無治療で12か月経過を観察し,症状は残っているが,生活には支障がない。 結論:本症例では,ストレスに伴う視覚的認知障害が生じ,その結果としてvisual snowが発症したと考えられる。