著者
今岡 洋二 杉原 久仁子 藤原 和美 小坂 淳子
出版者
大阪健康福祉短期大学
雑誌
創発 (ISSN:13481576)
巻号頁・発行日
no.7, pp.133-142, 2008-03

増加傾向にある介護職員の離職率の高さや心身に蓄積する疲労の原因の所在を明らかにする目的で、現在介護の仕事に従事している本学および大阪総合福祉専門学校の卒業生に対するアンケート調査をもとに、介護職場における夜間勤務、残業実態について考察を行った。夜勤に関しては、多すぎる回数、人員配置の不備・不足、長い労働時間に加え恒常的な残業があるなど、心身の健康を維持しながら、長年にわたって継続できる内容の労働ではないと考えられるような実態が浮き彫りになった。また単独での夜勤という勤務形態には、物理的にも心理的にも根本的で重大な欠陥があり、これは虐待事例などの要因ともなる問題である。データから浮かび上がった諸問題の大半は、社会的・構造的な問題がその核となっており、介護の職場は情報の開示を行うことで横につながり、共通の問題に取り組んでいく必要がある。
著者
小坂 淳子 今岡 洋二 杉原 久仁子 藤原 和美
出版者
大阪健康福祉短期大学
雑誌
創発 (ISSN:13481576)
巻号頁・発行日
no.7, pp.111-123, 2008-03

2007年は、介護の専門職としての介護福祉士が誕生してから20年を迎えている。介護福祉士は看護師や保育士と比較して浅い歴史しかない。本学は、すでに700名余りの卒業生(前身の専門学校を含む)を送り出し、15年経過している。そこで、介護福祉の創設期を担った卒業生がどのように考え、働いているか、仕事を継続できる条件は何かを明らかにする目的で調査を行った。調査では、施設での夜勤を伴う介護は、心身ともに緊張感が高いことや、6割近くの介護職が入浴介助を負担となっている実態等が明らかになった。しかし、介護福祉士は生活をする上で援助が必要な人へのかかわりを通して、自らの成長を実感できる仕事であると、回答も得ている。介護福祉士養成は基本的には国の義務である。介護福祉の仕事が若者に敬遠されることの無いよう、心身ともに健康で働き続けることができる労働条件の確保が不可欠である。現行の職員配置基準や夜勤体制の規制など、国や自治体、施設が行うべき課題は多い。養成校としての教育内容の検討も必要である。希望に燃えて介護福祉士職を選んだ若者の仕事を継続できる環境づくりが急務である。