著者
多賀紀晃 今本啓一 清原千鶴
雑誌
コンクリート工学年次大会2023(九州)
巻号頁・発行日
2023-06-16

既存鉄筋コンクリート造構造物の耐久性を示す指標の一つに,鉄筋腐食が挙げられる。近年中性化が鉄筋に到達した箇所においても質量含水率が低い箇所では鉄筋腐食の進行が抑えられている調査結果が多く報告されている。現在,コンクリートの質量含水率は主に乾式コアの採取により測定が行われているが、コアの採取が困難なケースもある。そこで,本研究では電気抵抗式含水率計を用いて既存の実構造物を中心に測定を行い,簡易的に微破壊でコンクリート内部の質量含水率を把握する方法の有用性について検討を行った。結果、普通ポルトラルドセメントが用いられたコンクリートであれば比較的問題なく測定が行えることがわかった。
著者
菊地俊文 片山行雄 黒田泰弘 今本啓一
雑誌
コンクリート工学年次大会2023(九州)
巻号頁・発行日
2023-06-16

普通コンクリートでは,適切な対策を講じることで,受入れ時のコンクリート温度の上限値を35℃から38℃に変更することが認められているが,マスコンクリートは対象外とされている。本論文では,各種ポルトランドセメントを用いた同じ強度レベルのコンクリートを対象に,練上がり温度を20℃および40℃とした室内実験,受入れ時の温度を35℃超とした実機実験を行い,フレッシュ性状の経時変化,凝結硬化,自己収縮,温度履歴,圧縮強度(簡易断熱・模擬部材含む)を測定した。また,マスコンクリートの温度ひび割れ危険度を解析的に評価し,受入れ時35℃を超えるマスコンクリートの適用可能性について言及した。
著者
木野瀬透 吉田夏樹 新大軌 今本啓一
雑誌
コンクリート工学年次大会2023(九州)
巻号頁・発行日
2023-06-16

著者らは,火災によるコンクリートの含水状態の変化に着目し,水を含まないフェノールフタレイン(PP)溶液により約150℃以上の熱を受け,ほぼ絶乾状態となった領域を判断する手法を検討してきた。本研究では,同手法を実際の火害調査に適用することを目的として,経年による自然な乾燥や中性化が進行したコンクリート造建築物から採取したコンクリートコアの加熱実験を行った。その結果,水を含まないPP溶液では先述の領域を,水を含むPP溶液では約600℃以上の熱を受け,中性化により生成したCaCO3が熱分解し,CaOが生成した領域を判断できることが分かった。
著者
下澤和幸 山﨑順二 今本啓一
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2019(札幌)
巻号頁・発行日
2019-06-11

国内では,実構造物の建設時における品質管理の一つの手段として,非破壊試験が導入されるようになり,特に表層透気試験であるダブルチャンバー法[Torrent法]が,かぶりコンクリートの品質評価に適用されてきている。しかし,本試験の測定値の評価基準は未だ整備されておらず,その評価には海外での検査指針等に示された基準値を参照しているのが現状である。本論では,実構造物を模擬したコンクリート試験体による透気試験や物性のデータをもとに,透気係数と中性化速度係数との関係を求め,ダブルチャンバー法による透気試験データを評価するための指標値の一案を示した。
著者
加藤猛 今本啓一 清原千鶴 山崎順二
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2018(神戸)
巻号頁・発行日
2018-06-20

透気試験によって仕上材付きコンクリートの中性化速度の評価を行うためには仕上材およびかぶりコンクリートの透気性をそれぞれ適切に評価する必要がある。そこで仕上材付きコンクリートの透気性をダブルチャンバー法およびドリル削孔法により測定した。さらに両者の測定結果を複合させることを試みた。中性化速度評価手法の適用性を実験的に検討するために4種類の仕上材と3種類の基材コンクリートを組み合わせた試験体を作製した。検討の結果,ダブルチャンバー法およびドリル削孔法の透気抵抗性を複合させた手法による中性化速度評価の可能性と評価区分案を示した。